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【退団インタビュー】 有田隆平[HO] いい人間が、いいラグビーをする。

退団インタビュー 有田隆平[HO]いい人間が、いいラグビーをする。 足掛け14シーズンにわたり日本ラグビーを引っ張ってきたHOが、トヨタヴェルブリッツで現役を終えた。有田隆平、36歳。東福岡高、早大を経てコカ・コーラ ウエストレッドスパークス(2020年度で休部)で7シーズン、神戸製鋼コベルコスティーラーズ(現神戸S)で5シーズン。そして豊田の地で2シーズン。小1でつくしヤングラガーズで初めて楕円球を手にしてから、30年近くに及んだ現役生活だった。「思った以上に穏やかというか、落ち着いた気持ちですね。もっとやりたいとか、うわあっという気持ちになるかと思ったら、すっきりした気持ちで」 今季は長らくメンバー外が続いた。初めてリザーブに入ったのは第17節の三重H戦。翌週5月10日、豊田スタジアムで行われた最終戦のS東京ベイ戦で後半20分から出場したのがラストゲームとなった。移籍1年目の昨季も10試合出場したが、全てリザーブ。先発の彦坂圭克、加藤竜聖を後方から支えた。「元気なうちは、いかに運動量で目立つかと思ってましたけど、出場時間が短くなったら、その分、仕事の質を上げようと。1本のスクラム、1本のラインアウト、1本のブレイクダウン…。チームのかゆいところに手が届く、いてほしいな、という勝負所で仕事をする選手でいようと」 穏やかな気持ちで締めくくれたのは、これまで悔いなく過ごしてきたから。「最後の2試合メンバーに入れたもらったこともありますし、毎年、いつ終わってもいい覚悟でやっていた。やり切りました」 選手として幸せなフィニッシュだった。 有田は福岡市出身、4兄弟の末っ子。兄弟は全員ラグビーをプレー、下の3人は関東大学ラグビーで活躍した。次兄・啓介さんは中大。三男・将太さんは法大。啓介さんは卒業後はトヨタ自動車ヴェルブリッツで活躍、引退後、採用担当も務めている。兄二人も、猛タックラーとして名を馳せた。「どちらかというと全員気合タイプで、センスでやってる感じではなかった」と笑うが、末っ子もよく走り、ボールに絡み、「いてほしいところにいる選手」。順調に年代別代表の道を歩んだ。東福岡高、早大とキャプテンを務め、全国大会で準優勝までチームを引っ張った。卒業後、九州のラグビーを盛り上げようと地元に戻り、コカ・コーラウエストレッドスパークスに加入。2018年度に神戸に移籍する。加入1年目でチームはトップリーグ優勝の快挙を果たした。その後、リーグワンに替わってもプレーを続けたが、出場試合は百試合には届かなかった。「14年の半分はケガで離脱してました。80試合くらいしか出ていない。普通だったら、余裕で百は超えてる」 逆に度重なるケガでプレースタイルを見直したことが、長い現役生活に繋がった。「20代の最初はガツガツいくスタイルでしたけど、ケガもあって僕自身変わらなきゃいけなかった。それが上手く変化していけたのが続けられた要因かな」 コーラ時代には日本代表にも選出された。代表キャップは9。さかのぼれば、2009年に日本で開催されたU20ワールドチャンピオンシップでは、U20日本代表のキャプテンを務めてもいる。今季チームメートだったLOリッチー・グレイはU20スコットランド代表。2人は予選プールで対戦している。「まさか同じチームになるとは思いませんでした」と言うが、これも息長くプレーしてきたゆえに生まれた縁だ。 現在は社員、7月からは出向し、母校の早大でコーチを務める。「これからは自分が育ててもらったように、若い学生たちを育てる立場になる。いい人間が、いいラグビーをする。早稲田は、よりそういうことが生きてくるチームだと僕は思うので、そういう指導ができたらいいなと」「末っ子なんで、兄貴風を吹かすタイプじゃないんですけど」と言うものの、高校大学とキャプテン、ヴェルブリッツでも面倒見の良さでも知られた。 もともと第3列。早大入学後すぐに「上を目指すなら」と自ら決断してHOに転向した。「周りからは“バックローのほうがいいよ”と止められましたけど、将来生き残るならサイズ的にもHOだなと」 その選択も吉と出た。「HOはスクラムもラインアウトも、セットプレーの始まり。毎回投げる瞬間、組む瞬間はめちゃくちゃ緊張しますけどそこが上手くいけば、もっといいプレーヤーにボールが渡って、スコアできる機会も作れる。やりがいのあるポジションでしたね」 これからはコーチとして自分のような、そして自分を超える選手を育てていく。(文・森本優子)

退団選手インタビュー 須藤元樹[PR] 「トヨタでさらに自信がつきました」

須藤元樹[PR]「トヨタでさらに自信がつきました」 リーグ屈指のスクラメイジャーである右プロップ須藤元樹は、トヨタヴェルブリッツでの充実の2シーズンを終えた。 東京サントリーサンゴリアスから移籍した初年度の昨季は先発6試合、リザーブ2試合の出場にとどまったが、今季は全16試合中12試合に先発。ヴェルブリッツのスクラムを支えた。「これだけ試合に出られたのは社会人2年目以来6シーズンぶり。気持ちも充実してましたし、やってきたことは間違いじゃなかったと確信できたシーズン。これで勝てていたら、さらに良かったんですが」 以前はケガが続き、3シーズンで交代出場4試合、プレータイムも100分弱だった。「もう一度ラグビーを始めた頃のような気持ちで挑戦しようと」環境を変えたことが吉と出た。今シーズンも中盤に負傷はあったが大事に至らず、その後、復帰を果たした。「メディカルスタッフとS&Cコーチには本当に感謝です」 昨季所属していたNZ代表SOボーデン・バレットも、チームを離れる際にメディカルスタッフに最大級の感謝を述べていた。個々のケースにあわせて最大限かつ細心に寄り添う体制が確立されている。 プレータイムが伸びたことで、さらに自分自身に眠っている可能性も感じることが出来た。悔やまれるのは、なかなか勝利という結果が出せなかったこと。「これだけ試合に出たのも久しぶりですが、これだけ負けたシーズンも初めてでした。もちろん勝つのが一番ですけど、負けているときにチームをどうやって回すか、上手くいかない中でも選手同士でコミュニケーションをとったりと、新たな経験が出来た」 今季は全て先発だったが、過去にはリザーブの時期も長かった。それゆえ出られない仲間の思いも背負っての先発だった。「”出られない”ことも前のチームで経験している。その気持ちを持った上で試合に臨むようにしていました。フロントローって聖域みたいに思われがちですけど、みんな仲良くて、暇さえあればスクラムの話をしている。それはすごくいいことだなと思っていて。長い時間一緒にいるので本音で話し合える。誰が出ても応援できるし、仲間がいいパフォーマンスを出してくれたら凄く嬉しいし、家族のような存在ですね」 この2年、豊田スタジアムの近くに住んで三河の自然も満喫した。「猿投山が近くだったのでバイクで出かけて気分転換になりましたし、おいでんの湯(豊田市にある温泉)も、ほぼ毎週行ってました。東京生まれの東京育ちですけど性分的に自然が多いところが合っていた。心身ともにリラックスできました」 リフレッシュしたことで、活力が甦り新天地での挑戦を決めた。「トヨタでは2年でしたけど、最初から決めていたわけではなく、実際に過ごしてみて、どうするかという考えでした。いろんな要因はありますけど、家族のこともありますし、いちばんはラグビーのこと。今年31歳。選手としてまだまだ発展途上で伸びる余地もある。そう考えたら、自分が選手として最も伸びるのがどこかと、トータルに考えた上で結論を出しました」 トヨタでの2年間を「さらに自信がつきました」と振り返る。これまでも、これからも。プロップとして「前へ」を追求し続ける。        (文・森本優子)

【退団インタビュー】 崔 凌也[PR] プロップ冥利。

崔 凌也[PR]プロップ冥利。 トヨタの伝統を色濃く受け継いできたフロントローが、30歳を区切りにスパイクを脱いだ。 2017年度に加入した崔凌也。在籍は8シーズンだった。公式戦初出場は5年目、トップリーグ最後の2021シーズンの遅咲き。2シーズン前は先発7リザーブ1の8試合。昨季も先発6リザーブ2の計8試合に出場するも、今季はメンバー外が続いた。第18節の三重H戦に初めてリザーブに入り、後半15分から出場したのが全てだった。「もともと30歳で区切りをつけようと思っていたし、実際に今シーズンプレーしていて、あまり身体がついていかない。このままだらだら続けても、と1~2月頃に考え始めて、3月に(首脳陣に)話をしました。思ったように力が出せなくなったのが一番。出し切ったこともありますし、もうやりたくない(笑)」 北九州出身、父親の勧めで小5から帆柱ヤングラガーズで楕円球を追った。2人の弟もラグビー選手。長兄がいちばん長く現役を続けた。東福岡高、筑波大とラグビーの第一線を歩んだが、本人曰く「最初は小倉高校に行きたかったんですが、決断するタイミングが遅くて書類が間に合わなかった。それでヒガシが拾ってくれた」 ずっとラグビーは続けるつもりだったが、「どっぷりの日々」は想定外だった。「ヒガシに入ったとき、“俺はもうラグビーから逃げられないんだ”と思いました(笑)」 筑波大に進み、2017年度にトヨタに加入する。同期は姫野和樹、バティリアイ・ツイドラキら、才能あふれる仲間が揃っていた。「入ったときは、あまりのレベルの高さに“やっていけるのかな”って。当時は何もできなくて全然ダメだった。4年間試合に出られなくて、長く下積みがありました。自分の中でも、ずっと“辞めてやろう”と“頑張りたい”の天秤。いま1年目の選手が普通に試合に出てるのを見て、すごいなと」 生き残っていくための術としたのは、がむしゃらさだった。「周りは天才ばっかり。僕は才能がないから、どれだけ身体を捨てて泥臭いことができるかが、自分の強みだった。汚い仕事を自分からやらないと、職場がもらえない」 その努力が花開いたのはリーグワン2季目の2022-23シーズン。3月5日に秩父宮で行われた第10節・東京サントリーサンゴリアス戦だった。チームはそれまで黒星続きで3勝6敗の10位と低迷していたが、東京S戦で27-20と勝利。息を吹き返した。そこで先発してスクラム、ボールキャリーで活躍したのが崔だった。「ケガ人が多くて“とりあえずいけ”という感じで。いつでも準備はできていましたが、それでいい結果を残せた。自分でも思い出に残ってます」 以降、スクラムで一定の評価を得ていたが、今季は、自身のイメージ通りに身体が動かないもどかしさに悩まされた。葛藤しながらもミライマッチのリーダーとして、若手を鼓舞することに気を配った。ミライチームの成績は7勝1敗。とはいえ若手が公式戦に出るチャンスはなかなか巡ってこなかった。「ミライには一瑳(山川)にしろマサ(北村将大)にしろ、泥臭いプレーができるメンバーはたくさんいる。トヨタはもっと泥臭く身体をぶつけて、FWで勝つチーム。トヨタの根幹はFW。昔は戦った後に“あいつらとやったら痛かったな”と思われるチームだった。」スタンドから、ピッチで苦しむ仲間を複雑な思いで見守った。「自陣から何十フェイズ繋いでも、ノックオン1個でキック蹴られて自陣深くに戻される。これは辛いよ、と思って観てました。トヨタは日本一になるポテンシャルは十分ある。キックをばんばん使って、FWにエナジー溜めさせてゴール前で爆発すれば」 ミライマッチでは若手に伝えていたのは「楽に勝とうよ」ということ。「怠惰なプレーで勝つのではなく、システムは多少無視してもいいから、接点は強いので確実に自陣から脱出して、敵陣に居続ける。それだけで相手には精神的に負荷がかかる。そういうラグビーをすればいいんじゃないのかな。いまのトヨタは自慢できるところが分からなくなっている」 最前線で身体を張って支えてきたからこそ、今のスタイルに疑問を投げかける。「トヨタの強みを、姫野が十分に伝えてくれたら」 伝統の再生は同期に託した。 これからは家族との時間をゆっくり過ごす。2人目の子供は男の子。夫人は「ラグビーを」と望むが、「やるとしたらBK。CTBは難しいかな。FWは良くない。やって3列くらい」。自分のポジションは入っていない。「プロップは修行です。何回も言ってるんですけど、練習も試合も楽しくない。やってて全く面白くない。あるのは達成感と終わったときの安堵感。これは全プロップを敵に回してるかもしれないですけど」口火を切ったら止まらない。「不思議です。スクラム、好きじゃないのにめっちゃやっちゃう。好きじゃないけど何回も映像見るし、負けたらめちゃくちゃ悔しいし、若い子が上手くなるとすごく嬉しくなる。それがプロップ冥利、プロップの味だなと。FWは人間の根っこの部分がよく出る。特に1列。だからめっちゃ仲良くなりやすい。プロップやってて本当によかった」 本心は真逆。それが伝わるから、誰からも慕われた。「みんなが僕の発言を忘れた頃、しれっとクラブハウス行きます(笑)」ヴェルブリッツ自慢の「フロントロー列伝」。またひとり新たな章が加わった。    (文・森本優子)

【退団インタビュー】秋山大地[LO] 「LOとして求められることの答えを出したい」

秋山大地[LO]「LOとして求められることの答えを出したい」淺岡俊亮と同期で2019年シーズンから加入したLO秋山大地も、今季限りでヴェルブリッツを去る。プレータイムが限られていたわけではない。リーグワンでも貴重な日本人セカンドローとして、昨季は先発8試合に出場。今季も開幕戦から7試合連続スタメン。終盤、ケガもあったが、計9試合に先発し、メンバー入りは13試合。しかし、十分なプレータイムと裏腹に、迷い続けたシーズンだったという。「トヨタで6年間在籍して、たくさん試合に出していただいて、ラグビーでも人間的にも成長させてもらった。今シーズンは特になかなか勝てなかった悔しさもあるんですが、それとは別に自分のプレーを振り返ったとき、満足できた試合が全然なかった。そこのパフォーマンスを、ラグビー選手としてこだわりたかった。簡単な決断ではなかったけど、環境を変えてチャレンジしたいと」 最初の数試合はまだよかったが、中盤から、自分の満足いくパフォーマンスが出来なくなっていたと振り返る。「自分の強み、LOとして発揮しないといけないブレイクダウンの強さ、スキルで全然伸びていない。チームの求めるラグビースタイルが違うとかではなく、LOとして求められることの答えを出したかった」 仲間には相談せず独りで結論を出した。それは三重Hでプレーしている兄・陽路さんも、聞いて驚いたほどだった。「僕の性格上、人の意見を取り入れすぎる。離れたくないという気持ちもどこかにあるので、情が湧いて感情で判断してしまう。周りには申し訳なかったと思っています。トヨタのことはめっちゃ好きです。携わってる人も、チームも。この環境を離れなくなかったし、勝って皆と喜びたい気持ちも強かったけど、それ以上にラグビー選手として自分が納得いくパフォーマンスを出さないと心から喜べない。今シーズンは勝てなかったですが、たとえ勝っていても同じことを考えていたと思います」 それほどの重い決断だった。 192㌢114㌔。2㍍超の外国人選手が多く活躍するリーグワンで、サイズを言い訳にせず黙々とチームに貢献する選手だった。「外国人選手には高さではかなわない。僕の強みのフィジカルを出すと共に、運動量やスキルの部分でしっかり勝負しようと」 この6年でプレースタイルも広がった。主将を務めた帝京大時代、ボールを持ったら「とりあえず全部突っこむタイプ」(本人)。実は、パスに自信がなかった裏返しでもあった。「トヨタでパスの苦手意識がなくなりました。僕が入ったときのHCだったサイモン・クロンが、チーム全体にハンドリングの落とし込みがあって、そこからパスに対する苦手意識がなくなった」 キックオフキャッチも上達した。こちらも全体練習後、キッカーと持ち上げてもらうプロップの助けを借りて練習に励んだ。「時には嫌な顔もされながら(笑)、“お願いお願い”と頼み込んでやってもらいました」 スキル面に加えて、パトリック・トゥイプロトゥ(元NZ代表)やリッチー・グレイ(元スコットランド代表)ら、世界の頂点を極めたLOとプレー。多くを吸収した。「彼らは、セットプレーにプライドを持っている。試合が土曜に終わると、月曜の朝8時にラインアウトのミーティングをするんですが、中一日のタイトなスケジュールでも、次の対戦相手を研究して“次はこういうサインでいこう”と。スキルももちろん、ラインアウトリーダーとしてのプライドを学びました」 これまでの6シーズン、思い出深いのは、三重Hの兄・陽路さんと対戦した試合だ。5歳上の陽路さんがラグビーを始めた影響で、秋山もつるぎ高から楕円球を追いかけるように。高校、大学と入れ違いで別の道を歩んだ2人が、初めて対峙したのが、日本最高峰のリーグだった。「兄がラグビーをやってなかったら、僕もやってない。日本のトップレベルで兄弟対決ができた。夢がかなったと思いました」 公式戦での対決は2回。2021年3月6日のトップリーグ2021第3節と、昨年2月17日のリーグワン2024-25の第7節。「今年も入替戦回避を賭けて対戦したかったんですけど」 5月4日の第17節、陽路さんはメンバー入りせず、3回目の対決はお預けとなった。 新たなチームではプロ選手としてスタートを切る。「純粋に高校生の頃のように、自分の向上を求めてラグビーの原点的なところで楽しみたい。それがヴェルブリッツではだめなのかと言われると、自分が甘えてしまう弱さがあったので、環境を変えて退路を断とうと。今に後悔を残したくなかった」 これまでも、これからも。大地にどっしり根を下ろすLOとして、信じた道を歩んでいく。(文・森本優子)

【退団インタビュー】 淺岡俊亮[PR] 3番のこだわり。

淺岡俊亮[PR]3番のこだわり。 トヨタヴェルブリッツに6シーズン在籍したフロントローが、チームを離れる。 淺岡俊亮。2019年度の加入以来、名前はほぼメンバーシートに載っていた。だが背負った番号は二桁が大半だった。昨季は全16試合中11試合に全て交代で出場。今季も18試合中15試合でメンバーに入ったが、先発は第8節の静岡BR戦のみ。後半、インパクトプレーヤーとしての出場が定着していた。 退団を決意したのも、「先発で出たい」という思いからだ。「戦術面の関係やキャラクターもあると思うし、3番のインパクトプレーヤーは少ないので、僕が後半から出るのは分かる。でも新人の時や2~3年目はスタートで出ても、いいインパクトを与えられていた。しっかり前半から出てインパクトを与えられる選手になったら、自分が求めている場所にいけるかなと。そのへんを考えたら、簡単ではなかったですけど、移籍を決断しました」 首脳陣にも先発に出たい希望は伝えていた。だが返ってきたのは「スクラムが不安定」という答えだった。実際、3番には須藤元樹、木津悠輔、崔凌也らスクラムの猛者が並んでいる。本人もそれは承知だ。「スクラムで比べたら安定するのはその3人。でもフィールドプレーには自信あるし、たとえ不安定なスクラムでも最初から出れば、徐々に安定してくる。それを練習からアピールできなかった僕の力不足でもあります」 186㌢125㌔と、世界標準のサイズに恵まれた。京都成章高、帝京大では1番から3番までこなし、ヴェルブリッツ加入後はHOにも本格的に挑戦した。複数ポジションをこなせる強みはあるが、これからは3番一本に絞るつもりだ。 大学時代は「人にやらされるのが嫌で」ウエイトはあまりやらないほうだった。だがヴェルブリッツ加入後、そうそうたる先輩たちが活躍するのを見て、「勝つためにはウエイトしかない」と決意。牧野慎二ヘッドS&Cコーチに「もう帰れ」と言われるまで、ウエイトルームに居続けた。食事もサラダチキンやタンパク質の多いヨーグルトなどに変え、体脂肪も絞った。今ではクラブハウスにある最重量のダンベルでも物足りないと感じるほどにパワーアップした。「それでだいぶ変わりました。ここまでやりこまないとダメだと思えるかどうか」 新しい挑戦の先には日本代表も視野にある。現在のキャップは1。まずはスコッド常連になることだ。「ジャパンも去年の合宿に行ったとき“スタートの選手を中心に選考していく”と聞きました。今回も呼んでいただいたんですが、足の調子が万全でないので参加はやめました。完全にコンディションを整えて行きたい。来年以降、呼んでもらえたらと」 チームを出ることに無論、葛藤はあった。「会社の人も応援してくれたし、支えてもらっていた。それを考えると残りたかったし、このチームで優勝したかった。でもずっと心に引っかかっていたことがあって。それは何かと考えたら、自分の力を出す前に試合が終わってしまって、出し切れてないという思いでした」 前後半でのフロントローの入替は今や常識だ。だがプレータイムを伸ばして自分を成長させたいと願う20代の若者にとって、後半のプレータイムではもの足りなかったということだ。「スクラムは試合に出てこそ強くなる」 須藤元樹も退団し、層が薄くなる右プロップ。淺岡は昨春加入した高校・大学の後輩でもある西野拓真に後を託す。西野のサイズは186㌢113㌔。先輩とほぼ重なる。「身体はできてるんで、これからやっていけばどんどんよくなる。公式戦は強度が違う。出ると出ないのでは全然違うし、自分に足りないところも実感する。早く試合に出られるよう頑張ってほしい」 在籍中、もっとも力を出せた試合は今季第11節のBL東京戦。淺岡は後半16分から出場、試合は22-33で敗れたが、終盤は相手陣ゴール前で攻める時間も長かった。「僕が出た65試合の中で、一番いいプレーが出来た試合でした」 忘れられない試合はトップリーグ2020の開幕戦、1月12日のヤマハ発動機ジュビロ(現静岡BR)戦だ。1年目で開幕の3番に抜擢された。「トイメンは山本幸輝さん(元日本代表・現神戸S)。めっちゃ強い相手とやらせてもらって、イエローももらいましたけど、プレッシャーも感じたし、いいプレーも出来て、メンタルも上がった。試合で使わないと伸びない」 来シーズンは新天地でのプレーとなるが、そこでの競争も覚悟の上だ。「どのチームも競争はあるので、そこに勝って、先発をとりたい。こんどトヨタと試合する時は、いい敵として強くなった僕と対戦してほしい」 その時、淺岡が背負っている背番号はもちろん3番だ。(文・森本優子)

第18節マッチレポート 来季こそトヨタらしさを取り戻す(姫野)

第18節マッチレポート来季こそトヨタらしさを取り戻す(姫野) トヨタヴェルブリッツは5月10日、NTTジャパンラグビー リーグワン最終節でクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S東京ベイ)と豊田スタジアムで対戦。激しいフィジカルの応酬となったが、14-37で敗戦。通算成績は4勝1分け13敗となり、リーグ10位でシーズンを終えた。       ●「今シーズンを要約したような試合でした」と、試合後の会見でスティーブ・ハンセンHC/D.O.R。「互角に戦っていながら、こちらのエラーでトライを奪われてしまう」 前節で三重Hを下し、勝利の感覚を取り戻したヴェルブリッツ。今シーズンのラストゲームも80分通して攻守で激しく前に出た。だが、その健闘は得点板には反映されなかった。 最初に奪われたトライは、キック処理ではねたボールをすかさず相手にさらわれたもの。2本目も、ヴェルブリッツがアタックを継続していた場面で地面に落ちたボールに先に反応され、大きくゲインを許した。 接点ではリーグ指折りのフィジカルでならすS東京ベイと互角に渡り合った。相手のスクラム、ラインアウトモールにも対応、フェイズを重ねるアタックは止めきれるのに、一瞬の空白をつかれる。それは今季通じた課題でもあった。 それでも地元開催の最終戦。23人の闘志が鈍ることはなく、スコアは開いてもゲームの緊張感は途切れなかった。前半32分に相手ゴール前ラインアウトモールからNO8姫野和樹キャプテンが左隅にトライ、難しいコンバージョンを小村真也が沈め7-13。前半7-20での折り返し。 後半7分、FB髙橋汰地のハイボールキャッチからHO彦坂圭克が大きく抜け出し、LOアドレ・スミスがトライ。14-23と9点差としたが、直後、S東京ベイはラインアウトのこぼれたボールからトライ。14-30と引き離された。 2か月ぶりの豊田スタジアムでの試合に、VOLTsの声援も止まなかった。残り時間10分、14-30と勝敗が入れ替わるスコアではなかったが、攻め続ける選手たちにスタンドから大声援と手拍子が起きた。観客数は第18節中最多の14731人。レギュラーシーズン、ホストゲームの観客数はリーグワン設立以来、初の1位を記録した。「これだけ負けながらたくさんのファンが応援してくれた。感謝したい」 姫野キャプテンも会見の冒頭、真っ先にファンに感謝を述べた。だが今季の成績は到底満足できるものではない。「課題は明確。ボールをもっと大事にしないと。ペナルティもかなり犯した。いい場面もたくさんあった。来シーズンに繋げられたら」 11回目のシーズンを戦い切ったHO彦坂も「勝負の綾でミスが多かった」と今季を振り返る。「今年はあと一歩の精度が足りなくて、勝てそうなところで勝ちきれなかった。いい戦術を持っていても実行力がないとうまく使えない。精度の問題」 来季は精度を高めることが必須だ。 若手の成長は収穫だった。FL青木恵斗、SO小村真也ら「ゼロ年目」(青木)は、アーリーエントリーでチームに加わって即戦力に。「プレシーズンに自分自身の身体を作り直して、いま以上のパフォーマンスで、来年は必ずプレーオフにいきたい」(青木)。「オフは身体作りを一からやりたい」(小村)。アーリーエントリー選手にとっては、来季が開幕節から戦うファーストシーズン。トップレベルで戦う身体作りはこれからだ。「僕が思うトヨタらしさとは泥臭く、一歩でも前に出ること。それをもう一度取り戻したいし、それを見せ続けるのが自分の仕事」と姫野キャプテン。 ベテランも若手もすでに未来を見据える。予定より早く訪れたオフシーズン、まずは身体と心をゆっくり休めて次への英気を養う。 (文・森本優子)

第18節プレビュー 最終戦はストロング・フィニッシュで。

第18節プレビュー最終戦はストロング・フィニッシュで。 ヴェルブリッツにとって今季のラストゲーム、5月10日に豊田スタジアムでクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S東京ベイ)と対戦するメンバー23名が発表された。 4月27日の東京SG戦でデビューを飾ったSH田村魁世が再び9番で先発。右PR須藤元樹も2試合ぶりに先発入り。CTB13番はシオサイア・フィフィタに代わり、バティリアイ・ツイドラキが先発。弟のヴィリアメ・ツイドラキと今季初の兄弟スタメンとなる。       ● 前節、ビジターゲームで三重Hを下し、入替戦を回避したヴェルブリッツ。「グランドファイナル(決勝戦)」のつもりで戦おうと背水の陣で臨んでの勝利だった。HO彦坂圭克は「先週の勝利で満足してモチベーションが落ちるのが心配だったけど、みんな“トヨタのラグビーを体現するんだ”と存在証明、出し切ろうという気持ちになってる」。背負っていた重荷から解放され、有終の美を飾ろうと活力が満ちてきた。 彦坂自身、姫野和樹キャプテンの欠場中ゲームキャプテンを務めることが多かった。これまで主将経験のなかった彦坂にとって、貴重な経験となった。「チームがしんどい時、声掛け一つで良くなったり悪くなったりする。すごく成長できた」と振り返る。プレー面も充実。今季挙げた4勝のうち3勝でPOM。彦坂のトライが勝利を呼び込む起爆剤となっている。「僕がPOMを取る時は、FWが前に出ている。FWが前に出られれば勝てるチャンスは増える。今年、まだ何かを成し遂げたということはないので、最後にトヨタらしいラグビーができれば」 2週間前の東京SG戦でデビュー、「次に来るチャンスに備えたい」と言っていた田村に、早くも2度目のチャンスがやってきた。 イアン・フォスターCo.HCは「彼の今季の成長には感銘を受けている」と高く評価する。 本人はデビュー戦を振り返り、「しっかり前半からテンポを出せた。課題はきつい状況でのFWのオーガナイズとキックの精度。そこはずっと次のチャンスのために練習してきた」と、2度目の先発に腕をぶす。 S東京ベイの先発SHは関西大学リーグ時代、天理大と同志社大で対戦した1学年上の藤原忍だ。「ユースでも同じチームでした。スキルもあるし強気でくる。受けてしまったら相手の流れになる。強気にいきたいけど、相手よりまずは自分に焦点を向けたい」 チームとしての今週のテーマはストロング・フィニッシュだが、田村は「僕としてはグランドファイナルだと思って臨む」。前節に続く良い結果で終えたい。 イアン・フォスターCo.HCは「土曜の試合こそがチームの成長を示す良い機会」と捉える。「上位はプレーオフ、下位は入替戦を意識して試合する中、我々にとって大事なのは先を考えすぎないこと。土曜の試合を来シーズンの始まりとして、無駄にすることなく全力で向き合う。このチームが今、どう成長できるか。今に集中し今週の試合に全力で臨むこと。それが私たちの最大の課題であり、達成したい目標です」 地元豊田スタジアムで、今季のメンバーで挑む最後の試合。試合後、VOLTsににこやかに手を振ってシーズンを締めくくりたい。

第17節・三重H戦プレビュー 「グランド・ファイナルのつもりで」

トヨタヴェルブリッツは5月4日にNTTジャパンラグビー リーグワン第17節で三重ホンダヒート(三重H)と対戦するメンバーを発表した。前節メンバーから外れたSHアーロン・スミスが9番で先発し、今季初のFW6人、BK2人のリザーブ編成で臨む。       ● 10位ヴェルブリッツ対11位三重Hの一戦。入替戦回避がかかる試合は、激しいFW戦になりそうだ。「戦い方を考慮した結果、5-3よりも6-2の方がチームに柔軟性をもたらすと判断しました」とスティーブ・ハンセンHC/D.O.R。 FWのリザーブに今季初めて名を連ねたのは30歳のPR崔凌也、36歳のHO有田隆平のベテラン勢。「二人ともミライマッチで非常に良いパフォーマンスを続け、経験もあり、今がチャンスだと考えました。ここ数週間チームに足りていなかった部分を補ってくれると期待しています」(ハンセン氏) 終盤、セットプレーでの勢いを鈍らせないこと。大事な試合のフィニッシュはベテランに託された。「グランド・ファイナル(決勝戦)のつもりで臨みます」とは会見に出席したFB髙橋汰地。週の初め、イアン・フォスター共同コーチから出た言葉だ。「今まで、そう考えてプレーしたことはなかったんですけど、大学4年の大学選手権決勝の気持ちとか思い出しました。ワクワクしたし、絶対に優勝してやろうという気持ちを持っていた。今週は、そういう気持ちを思い出しながら試合したい」 髙橋は明大4年時、2018年度の第55回大学選手権決勝で天理大を22-17で下し、22年ぶりの優勝を飾っている。その試合、鮮やかなサインプレーで逆転トライを奪ったのも髙橋だった。 このところ4試合連続でFBを任されているが、「ディフェンスで裏のスペースをケアする。画面に映らないところで走らないといけない。そこは自分としても強み。しっかりジョイ(マヌ)とタイ(ツイドラキ)をリードしながら、声を出してチームを引っ張っていきたい」。 バックスリーをリードする立場となった髙橋だが、本来のトライをとりきるプレーでも貢献したい。 7番で先発する三木晧正は「プレッシャーと責任、いろんなものが自分の中に重圧としてかかってきて。でもそれに打ち勝ってこそなので、プレッシャーを楽しんで、自分の持っている全てを出したい」。三木がフォスター共同コーチから常々言われているのは「7番は暗殺者のように笑っておけ」ということ。「楽しむ気持ちを持ちつつ、常に笑って不気味な存在でいることが相手の脅威にもなる」(三木) どんな時もふてぶてしい笑みを絶やさない7番。大先輩のマイケル・フーパーもそうだ。三木は開幕節で先発し、2月に負傷。復帰戦となった4月の埼玉WK戦では、危険なプレーでレッドカードに。WRのコーチング介入で2試合の出場停止から1試合に減免となり、前節から復帰。昨年4月に加入、1シーズン目のリーグワンで激動のシーズンを送る。「チームが劣勢になる事態を二度と起こさないために、オーバーのところを繰り返し練習してます。いかに激しさを持ちつつリーガルにプレーするか」 自分は身体が大きくないので、と言う三木だが、ハンセンHCは「三木は実はフーパーより身体が大きいんです。見た目ではわかりづらいですが、何よりも“心の大きさ“が重要。プレーの精度が高く、試合の流れを読む力にも長けている」と高く評価する。 双方ともにプレッシャーのかかる試合となるが、ハンセン氏は「このプレッシャーを恐れず、むしろ楽しむことが大切。両チームともそれをエネルギーに変えていくことが重要です。その緊張感が生むアドレナリンを良い形でコントロールし、ラグビーにつなげていく必要があります」 リーグ戦は残り2試合となるが、指揮官は目の前の試合に集中しつつ、チームの課題も長期的な視点で見据えている。「残り2試合の結果に関わらず、プレシーズンではフィジカル面をしっかり見直す必要があります。戦術は合っているか、ゲームの理解度は十分か、メンタルの強さはどうか…。これらすべてが強いチームを作るうえで欠かせない要素。まだまだ成長の途中ですが、シーズンがどう終わろうとも、それらに取り組んでいく姿勢は変わりません」 まずは日曜の試合で「相手よりたくさん点を取ること」 グランド・ファイナルのつもりで、楽しみながら力を出し切りたい。

第16節東京SG戦マッチレポート 「次は信念を持って戦う。プレッシャーを楽しむ」(スティーブ・ハンセンHC/D.O.R)

第16節東京SG戦マッチレポート「次は信念を持って戦う。プレッシャーを楽しむ」(スティーブ・ハンセンHC/D.O.R) トヨタヴェルブリッツは4月27日、NTTジャパンラグビー リーグワン第16節で大阪花園ラグビー場で東京サントリーサンゴリアス(東京SG)と対戦。前半を14-19と僅差で折り返したが、後半10分過ぎに3連続トライを奪われ、28-45で敗れた。通算成績は3勝1敗12敗の10位となり、6位以内の可能性が消えた。       ● ゴールデンウイーク2日目、最高気温25度と初夏の陽気の下、前半はお互いにアタックを仕掛け合い、ボールが動くスリリングなゲームとなった。 東京SGが先にスコアし、ヴェルブリッツが追い付く展開。デビュー戦となったSH田村魁世も密集周辺でプレッシャーを受けながらも確実にボールを捌き、リズムを作る。33分には自陣ゴール前のピンチで相手ボールに絡み、流れを断ち切るフィジカルの強さも見せた。だが、強い日差しの中でボールを動かし合ったことで、徐々にチームの体力は削られていった。「前半はモメンタムがいったりきたり。それが後半のボディブローに繋がった」(東京SG・小野晃征HC) 勝負の綾もあった。後半3分、WTBジョセフ・マヌのトライはTMOでその前に反則が確認され、キャンセルに。その後、ヴェルブリッツに反則が重なる。キックで自陣に戻されFWで圧をかけられ、さらに出足が重くなる。10分、14分、16分と相手FWに3連続トライを奪われ、14-38と引き離された。互角に渡り合いながら、短い間に失点を重ねるのは今季の課題でもある。 後半26分には10週間ぶりに復帰したFLウィリアム・トゥポウが再び腕を負傷し、ピッチの外へ。既に交代選手全員を使い切っており、「姫野は前の試合でフル出場している。三木をはじめとしてルースFWの体調を管理する必要がある」(ハンセン氏)と、一人少ない状態で戦うことに。 残り時間、ピッチの14人は意地を見せた。自陣トライラインを背に耐え抜くと37分、自陣深くのスクラムにWTBヴィリアメ・ツイドラキがFLに入って対応。そこからFKを得るとFLブレア・ライアルが抜け出して、ツイドラキがフォロー。相手ゴール前ラインアウトから再度ライアル―ツイドラキと渡り、トライラインに身を躍らせた。それは最後までグラウンドを守った14人のプライドだった。この後、東京SGに1トライを許して、最終スコアは28-45。「ハーフタイム後の15分、攻守ともに精度が落ちた。モールのドライブ阻止など、それぞれの与えられた役割を高い精度で遂行できなかった」(スティーブ・ハンセンHC/D.O.R)「自分たちのエネルギーがありあまってペナルティを犯してしまう。落ち着いてプレー出来ればよかった」(NO8姫野和樹キャプテン) 勝利をつかめそうな時間帯はあっても、反則でチャンスを手放すのはシーズン通しての課題。SH田村のフレッシュな活躍は収穫だった。「田村はチャンスをつかんだだけでなく、いいプレーも見せてくれた」(ハンセン氏) 本人は「リーグワンレベルのインテンシティや、フェイズが重なってしんどい時にFWをオーガナイズするところはまだまだ。課題がみつかった」と次に目を向けた。次節は5月4日、三重ホンダヒート(三重H)との再戦。第2節では17-21で敗れている。現在、ヴェルブリッツは勝点20の10位、三重Hは勝点18の11位。最終節を残すものの、敗れたチームが入替戦出場が濃厚となる。「一番大事なのは信念。(入替戦に出るかどうかは)我々次第。信念を持って80分プレーすること。プレッシャーを楽しむこと」(ハンセン氏) ラスト15分で14人が見せた意地は、その信念の表れ。次の試合に繋がるものだった。 大阪で初となったヴェルブリッツのホストゲーム、観客数は10569人。愛知から足を運んだ大勢のVOLTsは早くからラグビー場周辺に集い、スタンドから声援を送った。次節は三重Hのビジターゲームとなる。次の日曜は今季最大の熱量で、大一番に臨むチームを支えたい。(文・森本優子)