NZ留学レポート
サウスランド編
毎年恒例のチームによるNZ留学、今年はHO福澤慎太郎、FL三木晧正、SO北村将大の3人がインバーカーギルに。PR清水岳、SH谷中樹平がノースオタゴに滞在。地元クラブチームの大会に出場しつつ、州代表の練習にも参加している。
[インバーカーギル編]
南島の南端、「サウス・オブ・サウス」に位置する街インバーカーギル。福澤と北村はインバーカーギル・ブルーズ(以下ブルーズ)、三木はパイレーツ・オールド・ボーイズ(以下POB)に所属している。
留学組はリーグワン終了後に日本を出発するのが通常だが、福澤は4月末にNZに入った。「ブルーズのHOが足りなくて、来られるなら早く来てほしい。試合も経験してもらえるから、と。ミライマッチも残り1試合だったので」、急きょ留学時期を繰り上げた。
「最初はみんなが手取り足取り、助けてくれました。練習中もコーチがつきっきりで教えてくれたので環境に馴染むのも早かったです」
当初はチーム関係者の家にホームステイ、三木と北村が到着した後、一緒の家で生活するように。現在はそれぞれのクラブと、州代表の練習に参加している。
北村はNZ到着後まもなく、父親になった。
「ちょうど練習や試合とは重ならなかったので、フェイスタイムで、立ち会えました」。今も毎日、フェイスタイムで家族と顔を合わせている。
「もう3週間経ちますが、だいぶ大きくなった印象です」。当初は夫人を残しての留学に迷いもあったが、「奥さんが、“頑張ってきて”と背中を押してくれたのが大きかった。会うのが楽しみです」。
三木はひとりPOBで奮闘中。日本にいるときから英語を勉強していたが、「最初の1~2週間は苦労しました」と言う。
「日本でプレーしている外国人選手は、僕らにわかりやすく喋ってくれるけど、こっちはチームにアジア人は僕一人。わかりやすく話そうということはなくて、練習や日常会話は、英語が理解できる前提。最初は喋るより聞き取りが難しかったですが、やっと慣れてきました。これから楽しくなるかなと」。
HOの福澤は日本とは全く違うスクラムの環境で奮闘中だ。
「日本だと“こういうスクラムを組もう”と、組み方とかすごく議論するけど、こっちはぶっつけ本番。アマチュアチームということもあると思うんですけど、フリースタイルなスクラムです」
南半球はこれから冬。雨が多くグラウンドはぬかるみ、試合によってはボールボーイもいない。
「泥だらけのボールを自分で拾いに行って、泥をぬぐって投げるのにも一苦労です」(福澤)
NZ特有のぬかるむグラウンドには、SOとFBを任されている北村も手を焼く。
「ドロドロなので踏ん張りが効かなくて、キックを蹴ったり、走るときに滑りそうになる。でも、そういう中でも完全なパフォーマンスをしないといけない。日本は恵まれた環境でやっていたんだなと改めて感じます」。
6月21日には、福澤と北村が所属するブルーズと三木のPOBが直接対決。試合は現在、首位のPOBが44-27で勝利した。クラブの大会は6月いっぱいでリーグ戦が終了、7月からプレーオフが始まる。ブルーズはプレーオフに進出できなかったため、福澤と北村は州代表の練習に専念する。
サウスランド州代表は、ヴェルブリッツでFWコーチを務めたネイサン・ホワイト氏が新たに共同コーチに就任。パフォーマンスコーチのジェイソン・プライス氏も所属。3人にとって気心の知れた首脳陣がいるのは心強い。
これからの課題は、それぞれ明確だ。
「ゲームコントロール、キッキングゲームは常に向上していかないと。あとはスペースを見つけたら、すぐ動くこと。そこはどのチームでプレーしたとしても意識していきたい」(北村)
「ずっと準備してきたチームではないところで突然メンバーに入れられても、自分の力を出せるように適応力を身に着けたい。これから州代表でも必要だし、日本では味わえない体験。そこは積極的にコミュニケーションをとってやっていきたい」(三木)
「まずはアタック。それが僕の強みだと思っているので、身体の大きい選手に対して、さらに伸ばせるように。ディフェンスもまだまだ課題なので、身体をバチバチ当てられるようにしていきたい」(福澤)
試合のない週には3人でクインズタウンに出かけ、ノースオタゴの清水岳と谷中樹平と落ち合い、束の間ゆっくり過ごした。日本での新たなシーズンに向け、まだまだ南半球での修行の日々は続く。
インバーカーギルに住むプライシーの自宅にて
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