退団選手インタビュー 須藤元樹[PR] 「トヨタでさらに自信がつきました」

須藤元樹[PR]

「トヨタでさらに自信がつきました」

 リーグ屈指のスクラメイジャーである右プロップ須藤元樹は、トヨタヴェルブリッツでの充実の2シーズンを終えた。

 東京サントリーサンゴリアスから移籍した初年度の昨季は先発6試合、リザーブ2試合の出場にとどまったが、今季は全16試合中12試合に先発。ヴェルブリッツのスクラムを支えた。

「これだけ試合に出られたのは社会人2年目以来6シーズンぶり。気持ちも充実してましたし、やってきたことは間違いじゃなかったと確信できたシーズン。これで勝てていたら、さらに良かったんですが」

 以前はケガが続き、3シーズンで交代出場4試合、プレータイムも100分弱だった。「もう一度ラグビーを始めた頃のような気持ちで挑戦しようと」環境を変えたことが吉と出た。今シーズンも中盤に負傷はあったが大事に至らず、その後、復帰を果たした。

「メディカルスタッフとS&Cコーチには本当に感謝です」

 昨季所属していたNZ代表SOボーデン・バレットも、チームを離れる際にメディカルスタッフに最大級の感謝を述べていた。個々のケースにあわせて最大限かつ細心に寄り添う体制が確立されている。

「ケガをしても、しっかりその症状を見て、説明しながら大隈さん(ヘッドアスレティックトレーナー)を筆頭にケアしてくださった。リハビリも、個人に特化したメニューを作ってくれて、その後もマンツーマンで寄り添ってくれた。テーピングもケガの箇所だけでなく、補助筋に負担がいかないように巻いてもらって、どうすればケガを防げるか一から学べました」

 プレータイムが伸びたことで、さらに自分自身に眠っている可能性も感じることが出来た。悔やまれるのは、なかなか勝利という結果が出せなかったこと。

「これだけ試合に出たのも久しぶりですが、これだけ負けたシーズンも初めてでした。もちろん勝つのが一番ですけど、負けているときにチームをどうやって回すか、上手くいかない中でも選手同士でコミュニケーションをとったりと、新たな経験が出来た」

 今季は全て先発だったが、過去にはリザーブの時期も長かった。それゆえ出られない仲間の思いも背負っての先発だった。

「”出られない”ことも前のチームで経験している。その気持ちを持った上で試合に臨むようにしていました。フロントローって聖域みたいに思われがちですけど、みんな仲良くて、暇さえあればスクラムの話をしている。それはすごくいいことだなと思っていて。長い時間一緒にいるので本音で話し合える。誰が出ても応援できるし、仲間がいいパフォーマンスを出してくれたら凄く嬉しいし、家族のような存在ですね」

 この2年、豊田スタジアムの近くに住んで三河の自然も満喫した。

「猿投山が近くだったのでバイクで出かけて気分転換になりましたし、おいでんの湯(豊田市にある温泉)も、ほぼ毎週行ってました。東京生まれの東京育ちですけど性分的に自然が多いところが合っていた。心身ともにリラックスできました」

 リフレッシュしたことで、活力が甦り新天地での挑戦を決めた。

「トヨタでは2年でしたけど、最初から決めていたわけではなく、実際に過ごしてみて、どうするかという考えでした。いろんな要因はありますけど、家族のこともありますし、いちばんはラグビーのこと。今年31歳。選手としてまだまだ発展途上で伸びる余地もある。そう考えたら、自分が選手として最も伸びるのがどこかと、トータルに考えた上で結論を出しました」

 トヨタでの2年間を「さらに自信がつきました」と振り返る。これまでも、これからも。プロップとして「前へ」を追求し続ける。

        (文・森本優子)


(写真説明)

第9節の神戸S戦。金髪と髭がトレードマークとなっていた

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