第18節マッチレポート 来季こそトヨタらしさを取り戻す(姫野)

第18節マッチレポート

来季こそトヨタらしさを取り戻す(姫野)

 トヨタヴェルブリッツは5月10日、NTTジャパンラグビー リーグワン最終節でクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S東京ベイ)と豊田スタジアムで対戦。激しいフィジカルの応酬となったが、14-37で敗戦。通算成績は4勝1分け13敗となり、リーグ10位でシーズンを終えた。

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「今シーズンを要約したような試合でした」と、試合後の会見でスティーブ・ハンセンHC/D.O.R。

「互角に戦っていながら、こちらのエラーでトライを奪われてしまう」

 前節で三重Hを下し、勝利の感覚を取り戻したヴェルブリッツ。今シーズンのラストゲームも80分通して攻守で激しく前に出た。だが、その健闘は得点板には反映されなかった。

 最初に奪われたトライは、キック処理ではねたボールをすかさず相手にさらわれたもの。2本目も、ヴェルブリッツがアタックを継続していた場面で地面に落ちたボールに先に反応され、大きくゲインを許した。

 接点ではリーグ指折りのフィジカルでならすS東京ベイと互角に渡り合った。相手のスクラム、ラインアウトモールにも対応、フェイズを重ねるアタックは止めきれるのに、一瞬の空白をつかれる。それは今季通じた課題でもあった。

 それでも地元開催の最終戦。23人の闘志が鈍ることはなく、スコアは開いてもゲームの緊張感は途切れなかった。前半32分に相手ゴール前ラインアウトモールからNO8姫野和樹キャプテンが左隅にトライ、難しいコンバージョンを小村真也が沈め7-13。前半7-20での折り返し。

 後半7分、FB髙橋汰地のハイボールキャッチからHO彦坂圭克が大きく抜け出し、LOアドレ・スミスがトライ。14-23と9点差としたが、直後、S東京ベイはラインアウトのこぼれたボールからトライ。14-30と引き離された。

 2か月ぶりの豊田スタジアムでの試合に、VOLTsの声援も止まなかった。残り時間10分、14-30と勝敗が入れ替わるスコアではなかったが、攻め続ける選手たちにスタンドから大声援と手拍子が起きた。観客数は第18節中最多の14731人。レギュラーシーズン、ホストゲームの観客数はリーグワン設立以来、初の1位を記録した。「これだけ負けながらたくさんのファンが応援してくれた。感謝したい」

 姫野キャプテンも会見の冒頭、真っ先にファンに感謝を述べた。だが今季の成績は到底満足できるものではない。

「課題は明確。ボールをもっと大事にしないと。ペナルティもかなり犯した。いい場面もたくさんあった。来シーズンに繋げられたら」

 11回目のシーズンを戦い切ったHO彦坂も「勝負の綾でミスが多かった」と今季を振り返る。

「今年はあと一歩の精度が足りなくて、勝てそうなところで勝ちきれなかった。いい戦術を持っていても実行力がないとうまく使えない。精度の問題」

 来季は精度を高めることが必須だ。

 若手の成長は収穫だった。FL青木恵斗、SO小村真也ら「ゼロ年目」(青木)は、アーリーエントリーでチームに加わって即戦力に。

「プレシーズンに自分自身の身体を作り直して、いま以上のパフォーマンスで、来年は必ずプレーオフにいきたい」(青木)。「オフは身体作りを一からやりたい」(小村)。アーリーエントリー選手にとっては、来季が開幕節から戦うファーストシーズン。トップレベルで戦う身体作りはこれからだ。

「僕が思うトヨタらしさとは泥臭く、一歩でも前に出ること。それをもう一度取り戻したいし、それを見せ続けるのが自分の仕事」と姫野キャプテン。

 ベテランも若手もすでに未来を見据える。予定より早く訪れたオフシーズン、まずは身体と心をゆっくり休めて次への英気を養う。 (文・森本優子)





生まれ故郷の豊田市で2季ぶりスタメンを飾ったCTBバティリアイ・ツイドラキ

後半7分、トライを奪ったLOアドレ・スミス

開幕節のS東京ベイ戦に続きトライを決めたNO8姫野和樹キャプテン

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