第12節マッチレポート
「自分たち自身でプレッシャーをかけてしまう」(ハンセン氏)
トヨタヴェルブリッツは3月22日、NTTジャパンラグビー リーグワン第12節で岐阜・長良川競技場で三菱重工相模原ダイナボアーズ(相模原DB)と対戦。試合は相模原DBに先制を許し、追う展開に。後半の半ばには3連続トライで2点差まで迫ったが、22-31で敗れた。成績は2勝1分け9敗の11位。
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最高気温21度、初夏を思わせる陽気の下、長良川競技場での今季最終戦。ヴェルブリッツは開始47秒で先制トライを許し、追いかける展開に。最大19点差をつけられたが、後半6分、スクラムからのWTBヴィリアメ・ツイドラキのトライを皮切りに13分、16分とWTBジョセフ・マヌが連続トライ。一気に22-24と差を詰め、流れを手にしたかに見えた。だがその後、相手に自陣深く攻め込まれ、脱出できない。相手の攻撃を粘り強く止め続けたものの、後半24分、19フェイズでトライラインを明け渡し、22-29。コンバージョンも決まり22-31と差を広げられ、試合終了。勝ち点を獲得することはできなかった。
「我々にはとてもフラストレーションの溜まる試合。ディフェンス、実行力は時によかったが、同時にソフトな場面もあった」とスティーブ・ハンセンHC/D.O.R。
勝負どころは2点差に迫った後の10分間。畳みかけられなかったヴェルブリッツと、トライで突き放した相模原DB。相手SH岩村昂太主将は「後半コネクションが切れて相手に流れを渡したが、目の前の仕事にフォーカスして、また流れを取り戻せた。そうなれたのは成長の証」と胸を張った。
ハンセン氏は「相手のプレッシャーもあるが、勝ちが見えてくる場面で自分たち自身でプレッシャーをかけてしまう。結果がついてこないことで、より圧力をかけてしまう」
負傷治療のゲームキャプテン、FLマイケル・フーパーに代わって会見に出たHO加藤竜聖も「いいアタックができたが、ここぞという時にソフトになってしまった」と振り返った。
ゲインメーターはヴェルブリッツが600、相模原DBが456と大きく上回りながら、テリトリーでは44%と56%。アタックは継続できても有利なエリアで展開できず、得点に結びけることができない。
「チームに一体感を植え付けるシニアプレーヤーにケガ人が多い。チームは痛みを伴っているが、同時に経験値を作っている。また月曜にレビューをして、成長しないといけない」とハンセン氏。会見ではレフリングについても言及した。
「今日の試合、我々は実行力、ディフェンスの面でソフトだったが、レフリーにはより高い一貫性を求めたい。故意のノックオンからの2トライは残念。私の立場からの発言は問題になりかねないが、ヴェルブリッツを、日本ラグビーを愛している。同時にレフリーの方々にも敬意をはらっている。他の仕事をしながらレフリーをしている状況では、高いスタンダードは求められない。これは全チームの問題。JRLOには、レフリーの十分な育成を求めたい」
光明はアーリーエントリーの2人、FL青木恵斗と小村真也の躍動だ。前半14分、HIAの交代で出場した小村はゴール前でツイドラキからパスを受けると、相手をかわしてリーグワン初トライ。後半11分にSOマット・マッガーンに代わり10番に入った後も、積極的にラインを前へ出した。瞬時の状況判断、自ら抜くスピード。成長著しいが、試合後は「中盤で手詰まり感が出た時、打開することができなかったのは僕の責任。若いとかベテランとか関係なく、10番として入ったからには勝たせるのが仕事」と、前節に続き敗戦を背負った。
80分フル出場した青木も「2点差の場面でチームとして攻め急いでしまった。ああいう時こそ落ち着いて、強みであるフィジカルを出していけばよかった」と反省する。
「大学では勝つことが多かった。負けたら悔しくて、うまく切り替えられない自分もいる」(青木)
試合前日の大学の卒業式を欠席して身体を張る2人。卒業祝いに白星を贈りたいのは、チーム皆の願いだ。 (森本優子)
第8節の静岡BR戦に次いで先発したHO加藤竜聖
しばしば快走を見せたWTB髙橋汰地
この日2トライ、通算7トライとなったWTBジョセフ・マヌ
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