第8節マッチレポート 「こういうしんどい時、どれだけ固まって一つになれるか」(松田力也)

 トヨタヴェルブリッツは2月16日、長良川競技場でNTTジャパンラグビー リーグワン第8節で静岡ブルーレヴズ(静岡BR)と対戦。序盤に14点を取られた後、立て直して3点差まで迫ったが、終盤に引き離され23-33で敗戦。通算成績1勝1分け6敗となった。

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 開始8分で連続トライを許し0-14のビハインド。前半で6トライを失った前節・相模原DBのデジャヴがよぎった。だが、この日の15人はここから盛り返した。

「(序盤は)いけるかどうか不安があった。でもフェイズを重ねたら、いけると感じて、そこからどんどんいけた」(SH梁正秋)

 これまで入替出場だった選手が先発に多かったが、身体を当て続けるうち本来のペースを取り戻した。20分にはFL奥井章仁が自陣で相手パスをインターセプト。相手陣まで持ち込み、SO松田力也のオフロードを受けたCTBジョセフ・マヌがトライ。相手に奪われた流れを押し戻して10-14で折り返した。

後半11分、13-19と6点差を追う時間帯で、SHアーロン・スミスら従来の先発メンバーが登場。巻き返しを期したが、その後は相手の強みであるスクラムで反則をとられて苦しんだ。21分、31分と続けてトライを許し、16-33。41分にWTBシオサイア・フィフィタが意地のトライを返したが、最終スコアは23-33。ボーナスポイントは獲得できなかった。

「今回に関しても大半はいい競い合いができたが、結果がついてこなかった」(スティーブ・ハンセンHC)

「ゲームの大半、やろうとしているラグビーは見せられたと思うが、試合の入り、勝負の綾で相手が少し上回っていた」(松田力也ゲームキャプテン)

 後半半ば過ぎからはスクラムでの反則で、エリア的に苦しい時間帯が続いた。静岡BRの最年長、35歳のHO日野剛志は試合後、こう振り返った。

「ヴェルブリッツのような強いチームと戦う時には、うまくいかないことが多い。そういう時に立ち返れるうちの強みは、スクラム。スクラムでプレッシャーをかけ続けたことで自分たちの流れにもってこれた」

 静岡BR藤井雄一郎監督は「今日でチームはひとつ(段階を)上がった」と会見の最後にぽつり。どちらに転ぶか分からない試合をしているが、先に土俵を割ってしまう。開幕以来、苦しい状況が続いている。

 ルーキーながら、80分通してチームを牽引したFL奥井章仁。最初のトライの起点を作っただけでなく、80分通してのワークレートも高かった。その奥井は、相手のキャプテンである南ア代表NO8クワッガ・スミスに持ち込んだボールを瞬時にスティールされ、世界トップのスキルを体感した。

「まだまだだ、ということを毎回感じさせてもらってる。成長するために必死で出来る」

 この悔しさは、いずれ自分への実りとなって戻ってくる。

ハンセン氏は「選手のアティチュードは変える必要はない。取り組みは素晴らしい。変えないといけないのはタックル。ファーストタックラーのドミネートが足りないし、いい場面の後にターンオーバーされている。それ以外にも細かいことがある」といくつか修正点をあげた。収穫はFW第1列、SH梁ら先発を任された選手の健闘。次節・神戸S戦が全18試合の折り返し。層の厚さは、必ずこれから活きてくる。

「こういうしんどい時は、チームがばらばらになりやすい。どれだけ固まって一つになれるか(松田力也)

「いつか必ずトヨタの番がくる。月曜からまた同じように努力を続けるだけ」(ハンセン氏)

 あとは、苦しい時に立ち返れる場所――。ヴェルブリッツの立ち返る強みはどこなのか。それを見つけてチーム全員で共有することが、トンネルを抜け出す道標となる。(森本優子)


 今季初先発のSH梁正秋

冷静に状況を読みインターセプト。FL奥井章仁

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