NTTジャパンラグビー リーグワン第3節は1月4日、東京・味の素スタジアムで行われ、トヨタヴェルブリッツは東京サントリーサンゴリアス(東京SG)と対戦。リードが二転三転する熱戦となり、30-30のドローに終わった。
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ともに開幕から連敗、喉から手がでるほど勝利の欲しかった両チームの対戦。結末は引き分けだった。
試合はヴェルブリッツが4トライ、東京SGが3トライ。どちらも激しく攻め合い、取りつ取られつのシーソーゲーム。25分、東京SGがPGを決めて22-30と8点差がついてから、ヴェルブリッツの猛攻が始まった。
2分後にSO松田力也のPGで5点差に。37分には自陣中盤スクラムからチーム一体となったアタックを見せた。WTB髙橋汰地が相手を跳ね飛ばしライン際を力走、相手陣22㍍まで持ち込む。CTBシオサイア・フィフィタが強いキャリーで相手を巻き込んでゲイン。最後はFLウィリアム・トゥポウが2人がかりのタックルを受けながら、この日初出場のFBマット・マッガーンに間一髪のパス。背番号22は左中間に身を沈めた。全員が集中力高くボールを繋いだ会心のトライだった。
松田のコンバージョンは外れ、30-30の同点で残り2分。80分を告げるホーンが鳴っても、プレーは途切れない。84分、自陣からFBティアーン・ファルコンが55㍍のPGを狙うが、わずかに届かず。レフリーが試合終了を告げたのは、85分を過ぎていた。
スティーブ・ハンセンHCは開口一番、「結果は兄弟との抱擁のようだ。愛はあるけれど、望んでいないもの」とたとえ、それでも「冷静さを保って戦ってくれた」と選手をたたえた。
前節、終盤に落ち着きを失って逆転された三重H戦の反省から、翌週の練習で取り組んできたのは、「冷静さと精度を確認すること」(ハンセンHC)。後半、反則が続く時間帯もあったが、再度FWが盛り返し流れを引き戻した。
会見で終了間際のロングPGを選んだことを聞かれた姫野和樹キャプテンは「自分はタッチかと迷ったが、ティアーンが“蹴らせてくれ”と言ってきた。練習でも努力するのを見てきた。チームメートとして彼を信頼した」と、理由を明かした。ハンセンHCは開幕節後の会見で、ペナルティでのプレー選択の是非を問われ、「私の経験から言うと、選手たちがグラウンドで感じたことが一番正しい」と答えている。今回も同様だろう。
逆転コンバージョンを外した松田も「勝てるゲームを落とした責任を感じている」と敗戦を背負ったが、同点トライは松田の判断あってのもの。相手も後半、2PGを外している。キックオフから激しいアタックの仕掛け合いとなった一戦。両チームの司令塔は安定したキッカーでもあり、様々な勝負の綾が積み重なってのドローだった。
終盤、ビハインドの状況でも冷静さを保ち続けられたのは確かな成長。プレシーズンでのケガが癒え、デビューを果たしたマッガーンは言う。「これまではどこかシャイな部分があったけど、今日は後半20分から自分たちを信じて積極的にいけるように変わってきた」。SO、CTB、FBをカバーできるマッガーンの戦列復帰で、BKのオプションはさらに厚くなった。
若手も気を吐いた。今季初先発となったWTB和田悠一郎は前半、自陣から停滞した局面を変える強い走りを見せた。開幕から3連続先発のルーキーFL三木晧正も、持ち前のディフェンスに加え、ボールキャリーでも見せ場を作った。
チームとしての課題は反則数。相手5に対し13。引き続き修正が必要だ。
「結果はハッピーではなかったが、やりたいラグビーが随所にできた。下を向いている暇はない」と姫野キャプテン。ハンセンHCは言う。
「今日はこれまでラグビーを見たことない人にとっては、印象的な試合だったでしょう。両チームとも質の高いトライを奪った。ラグビーというスポーツに関しては、今日は成功だったと言えるのではないでしょうか」
勝者も敗者も生まれなかった80分。だがラグビーの醍醐味は確かに刻まれた。
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