第1節マッチレポート 83分、無情の幕切れ。S東京ベイにDGで逆転喫す

ジャパンラグビー リーグワン2024-25は12月21日に開幕。トヨタヴェルブリッツは22日に秩父宮ラグビー場でクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S東京ベイ)と対戦、27-30で逆転負けした。

▼チームにカメラが迫りました(Spotlight on VERBLITZ)

後半43分、12,358人の観客の悲鳴と歓声が交錯した。27-27の同点。ヴェルブリッツが自陣ゴールを背負い、相手の猛攻を懸命に止め続ける。試合終了のホーン。その後も2分近く息詰まる攻防が続いたが、攻撃が21フェイズを数えた後、相手SOバーナード・フォーリーが中央付近からDGを蹴り込み、死闘に決着をつけた。

 中盤まではヴェルブリッツのペースだった。前半は強風が吹く中の風下だったが、エリアを慎重にコントロール。先制トライを許した後、20分にWTBヴィリアメ・ツイドラキ、27分にNO8姫野和樹キャプテンのトライで逆転。40分には初キャップCTBジョセフ・マヌもデビュー戦トライを飾り、21-10で折り返した。

 フィジカルに自信を持つ両チーム。序盤から激しい肉弾戦が繰り広げられ、一つの反則が流れを左右する中、後半7分、S東京ベイが第1列3人、SHら5人を入れ替えると徐々に攻勢に転じる。

存在感を放ったのは背番号16のマルコム・マークス。南ア代表で2度のW杯優勝を経験したHOは、昨季は負傷で全休。この日が2022年度のリーグワン決勝で優勝して以来の出場だった。

24-10とリードしていたヴェルブリッツだったがその後、セットプレーで後手に回った。12、15分と連続トライを許し、24-20と差を詰められる。松田のPGを追加するが、35分にトライを許し、27-27の同点に。終盤もしぶとく守り抜いたが、一歩及ばなかった。

 試合後の会見でスティーブ・ハンセンHC/DORは「後半にプレッシャーをかけてくるボムスコッド(強力なリザーブ)に対応できなかった」と振り返った。姫野和樹キャプテンも「悔しいけれど、ただただ相手がいいプレーをした」と勝者を称えた。

 大きく帆を張った新生ヴェルブリッツの船出。無情の幕切れにハンセンHCも「大半をリードしながらの敗戦には心が痛む」と落胆を見せたが、成長の跡は随所にあった。

終了間際、自陣ゴールを背負いながら反則せずに守り続けたディフェンスは大きな収穫。奪った3トライもきっちりデザインされたものだった。埼玉WKから移籍したSO松田力也はコンバージョン全てと2PGを決め、安定したキック力を見せた。試合後、「このクロスゲームを勝たせられる選手にならなくては」と悔しさをのぞかせたが、精緻なキッカーを擁していることはこの先、大きく影響してくる。

 姫野和樹キャプテンも「いいところはすごくたくさんあった。全員が同じ絵を見ているのは、素晴らしいこと。もっと強くなりたいという気持ちをチームから感じた」と前を向く。試合では松田から直接パスをもらってゲインする場面も、しばしば見られた。

「(松田は)僕の負担をしょってくれる。これからもっともっと頼りにしていく」と全幅の信頼を置けば、松田も「(姫野は)いてほしいところにいてくれる」と、阿吽の呼吸。姫野キャプテン自ら「僕自身、調子はいい。ラグビーを楽しめるし、何よりメンタルのレベルが上がった」と言うのは心強い。

 ハンセンHCは「今日、優勝トロフィーを持ち帰るわけではない。これからもプロセスを経て力を積みあげ、後半優勝に届くように持っていきたい」と出直しを期した。

 開幕節は6試合中3試合が終了間際に勝敗が決まる熱戦。S東京ベイのフラン・ルディケHCも「終盤までもつれる試合が増えたのは、リーグ全体のレベルが上がっている証拠」と、実力伯仲を認める。

 次節、ホスト開幕戦で対戦する三重ホンダヒートも、終了間際の逆転勝ちを収め、上り調子にある。目の前の勝負に集中しつつ、勝ちに驕らず、負けにうなだれず。淡々と長いシーズンを戦い抜いて、最後に笑いたい。


写真説明
1) NO8姫野キャプテンにパスをつなぐSO松田力也
2) デビュー戦でトライを決めたCTBジョセフ・マヌ
3) 終了間際、5分近く続いた相手の猛攻を止め続けた

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