【マッチレポート】第11節マッチレポート

第11節マッチレポート
雨中の奇襲。静岡BRに敗戦
 
 トヨタヴェルブリッツは3月23日、リーグワン第11節で静岡ブルーレヴズ(静岡BR)とエコパスタジアムで対戦。終始相手にペースを握られ、8-24で敗れた。通算成績は5勝6敗と負け越し。静岡BRと勝ち点24で並んだが、得失点差で入れ替わり8位となった。
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 気温11度、降りしきる雨の中、静岡BRは開始から積極的にボールを回してきた。
「相手のHB団はオールブラックス。そこに対抗するには、うちはある程度リスクを背負いながら、裏にボールを蹴ってチェイスする」
 今季、静岡BRの監督に就任した藤井雄一郎氏は、昨季まで日本代表チームディレクター。その前は、トップリーグの宗像サニックスブルースで監督を務め、限られた条件の下、
強豪を倒してきた。
「安全な方法をとる手もあったが、それではトヨタのやりたいようにやられる」(藤井監督)
 雨中の奇襲。おそらく手堅いキック戦を想定していたトヨタに戸惑いはあった。PGで先制した直後の5分、自陣ゴール前で相手を止めようとした際、SOボーデン・バレットがハイタックルでイエローカード。そのタックルがなければトライ出来たという判定で、ペナルティトライとなる。これで3-7と追う側に。その後も静岡BRは果敢にボールを回し、強いランナーが勢いよく走り込む。トヨタは接点で後手に回った。スクラムも、優位に組める場面もあったが、しばしば反則をとられた。静岡BRは1番に187㌢116㌔の24歳の茂原隆由、3番に193㌢132㌔とアーリーエントリーのショーン・ウェーデーと、巨漢の若手を先発させた。スクラムを指導するのは、藤井監督の右腕で、日本代表のスクラムに携わった長谷川慎アシスタントコーチだ。経験と駆け引きならトヨタの三浦昌悟と須藤元樹に分がある。静岡BRは重さで圧をかける策に出た。
「前半の選手はパンチと体重。経験はないので、弱いところが出ないうちに変えた」と藤井監督。
 前節の東京SG戦で反則が続いたトヨタだが、この日も同じ状況に。前半30分過ぎには、姫野和樹キャプテンが、チームでの反則の多さに対してレフリーから注意を受けた。
3-16での折り返し。我慢の時間帯が続いた後半8分、勝敗の分かれ目があった。守勢だったトヨタがペナルティを得て、SOバレットのタッチキックで相手陣22㍍へ。ここでトライを返せば一気に盛り返せる。だがマイボールラインアウトの球は味方の手に渡らず、相手HO日野剛志の腕の中へ。日野は迷わずキック。ボールはワンバウンドしてタッチラインの外へ。2021年度から導入された50:22ルールだ(自陣から蹴ったボールがバウンドして、相手の22㍍ラインを越えてタッチに出た場合、蹴った側のラインアウトで再開される)。
 静岡BRはその地点からのラインアウトでフェイズを重ね、10分、WTBキーガン・ファリアがトライ。これで3-21。差を広げられた。
「裏が空いていたので、無意識に蹴った。どっちが先にトライを取るか膠着していたとき、ボールがいい転がり方をして、そこからトライを取ってくれた」(日野)
 日野はルールが適応された時から全体練習後、BKに相手を頼み、キックの練習に励んでいた。
「(キックは)みんな練習してますよ」と日野。
 トヨタは後半34分にLOジョシュ・ディクソンがトライを返すが、8-24。今季最小得点で、連敗となった。
「相手が雨の中、上手くゲームを進めた。雨の試合は今季初めてで、自分たちが対応できなかったのが敗因」(姫野キャプテン)
 反則はトヨタが14、静岡BRが7。
「日々の練習の中で意識していくしかない。時間はかかる。キャプテンとしてアプローチしていくが、一人ひとりの意識が大事になってくる」と姫野キャプテン。
トヨタがリーグワンで静岡BRに敗れたのは初めて。会見で初勝利の感想を聞かれた藤井監督は「ああ、そうなんだ」と、とぼけながらも「もう苦手意識はない」と言い切った。この日、静岡BRの合言葉は「1ラウンドKO」だった。
これでカンファレンスAとの交流戦は終了。バイウイークを挟み、5週連続でカンファレンスBのチームとの再戦が待っている。今回の負けから時間が空くのは幸いだ。もう一度、足元を見つめ直し、今度こそ「これぞトヨタ」という一体感ある試合を見せてほしい。
 
相手にタックルに入るNO8姫野和樹キャプテン。タックル数はトヨタが198、静岡BRが100と倍だった

CTBシオサイア・フィフィタも相手のディフェンスに突破できず
SHアーロン・スミスがHO日野剛志を止める

交代で入ったSH茂野海人は今季初登場

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