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松山千大[CTB]
レギュラー争いへ、出来ることはすべてやる。
2022年度の大学選手権を安定した強さで勝ち抜き、2連覇を成し遂げた帝京大のキャプテン松山千大は1月8日の決勝戦以来、ゲームから遠ざかっている。
国立競技場で優勝カップを掲げた1週間後、ずっと痛めていた足の手術に踏み切った。現在はトヨタの新シーズンに向けて、コンディションを整えている。
「(足は)対抗戦終盤から痛かったんですけど、なんとか最後まで持ってくれた」
念入りにテーピングをするため、ピッチに姿を現すのはいつも最後だった。
「グラウンドに立ち続けることが僕の責任と思っていたので」
長年チームを築いてきた岩出雅之氏から相馬朋和新監督にバトンタッチした最初の年。そして連覇。主将として背負った期待は重かった。
「重圧はめちゃくちゃありましたね」。肩の荷を下ろし、素直な気持ちを口にできるようになった。
「練習でチームがまとまらなかったときとか、悩みましたね。このままで勝てるのか、と。よく相馬さんや、岩出先生に話を聞いてもらってました。みんなには“常にチャレンジャーで行こう”と言ってました」
結果、早大との大学選手権決勝戦のスコアは73-20。大会史上最多得点、53点差も史上最多という記録を打ち立てた。キャプテンは、最高の形で大学ラグビーを締めくくった。
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松山は大阪市内でもラグビーの盛んな大阪市生野区出身。小学校時代は野球少年。
「口ではプロ野球選手を目指すと言ってましたが、心の中では“なんかおもろないな”と思ってた」
そんなとき、3歳上の兄がプレーしていたラグビーの体験会に行き、すぐに夢中になる。
「激しくて相手を倒せる。最初はそこが楽しかった」
二人の兄もラグビー選手だ。3歳上の兄は大阪桐蔭から大体大に進学、1歳違いの兄は大阪桐蔭―近大―中部電力。松山も兄と同じく大阪桐蔭に進学し、日本一を目指して帝京大へ。目標を達成し、「社会人でも日本一になるために」トヨタに加入した。
今は全体練習はオフ。毎朝、弁当を作ってスポーツセンターに通い、トレーニングに汗を流す。趣味は料理。弁当を作るのも当たり前の日常だ。
「コロナで実家に戻っていた時、ちょくちょく料理をするようになって、それからハマりました。弁当も朝飯を作るときに一緒に作るので、面倒じゃないです」
買い物は3日に1回。食器もそろえ、大籔、山川、谷中ら同期を招き、食事をふるまうことも多い。
「キッチンが狭くて何種類も作れないので、一気にに作れる鍋とかどんぶり系が多いですね」
揚げ物は口にしない。肉を焼くときは風味のよいごま油を使う。最近、得意なのはカレーライス。谷中も「外で食べるより、チヒロのカレーのほうが全然おいしい」と絶賛する。
「ルーは市販ですけど、鍋を作っただし汁で翌日カレーを作るとめちゃくちゃ美味いです。味の深みが違います」
料理好きは、ラグビーをやる上でも役立っている。
「自分で食事を作り始めてから、身体が変わってきました。今は体脂肪を減らそうとしてるので、脂質には気を遣ってます」
CTBは外国人選手も多く、競争の激しいポジション。そこでポジションを勝ち取るために、出来る努力は全てやるつもりだ。
「自分の強みはタックル。ディフェンスで貢献したい。まだ中に入ってやってないんですけど、フィジカルもスキルも全然違う。相当努力しないといけない感覚はあります」
食事は身体づくりの基本。栄養も量も自分でコントロールできれば、これほど強いアドバンテージはない。外も内も強い身体を作りあげて、レギュラー争いに参戦する。
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