元イングランド代表LOジョー・ローンチブリー初先発。
シーズン中盤、エンジンがかかってきたトヨタヴェルブリッツに、さらに頼もしいパワーハウスが戻ってきた。昨年12月に加入した元イングランド代表LOジョー・ローンチブリー(31歳)だ。重ねたキャップは70。2015年W杯、2019年に日本で行われたW杯にも出場している。198㌢123㌔。北半球の重厚なFWプレーを体現するリアルLOが18日、パロマ瑞穂ラグビー場で行われるBL東京戦で、今季初の先発を果たす。
加入の報を聞いた後、実際のプレーを目にしたファンは少ないだろう。12月18日、豊田スタジアムでの開幕戦後に行われた静岡BRとのミライマッチに先発、重量感あふれるプレーを披露したが、翌週の第2節・三菱DB戦に交代出場した際、指を骨折。復帰まで時間がかかったのは、単純な骨折ではなかったため。
「指が真っ二つに折れました。いま9個スクリューが入っていて、骨よりチタンの方が多いくらい(笑)。これまで何百回とやったプレーでしたが、たまたま運が悪かっただけ」
苦労話にしないのが、ラグビーの母国の選手の矜持だ。幸い、術後は順調だった。
「主治医やメディカルスタッフのサポートが素晴らしかった。千春さん(阿部/生活サポートスタッフ)は必ず一緒にドクターのところに一緒に行ってくれて、私が知りたいことは全て聞けた。おかげで、すぐに気持ちを切り替えられました。幸か不幸か(笑)、足は何ともなかったので、走り込みは続けていました」
フルで練習復帰したのは3週間前。
東京SG、花園L戦はサポートメンバーとして遠征にも帯同。今回、ホストゲームで満を持しての復活だ。
イングランド代表として、様々な国と対戦を重ねた。試合に出られない間も、ミーティングで積極的に発言。相手ラインアウトの分析や仲間を鼓舞することに情熱を注いだ。
現在31歳。イングランドプレミアシップの名門、ワスプス一筋だったが、チームは昨秋、経営破綻。環境を変えるきっかけとなる。
「ワスプスとは2年契約でしたが、もともと契約が終わったら他国でプレーしたいと思っていました。日本は4年前のW杯で初めて来て、私も妻も大好きになりました」
トヨタはローンチブリーにとって2つ目の所属クラブだった。
「来る前は、もっと壁があると思っていました。実際に来てみたら英語を話す選手は多いしバイリンガルの選手もいて、日本人選手も英語に慣れている。私は“ホームボーイ”で家が大好きなんですが、トヨタはそんな私でも溶け込めました」
夫人と8歳の娘、3歳の息子の3人家族。3週間後に男の子が一人増えるため家族は一足早く帰国したが、滞在中は日本を満喫した。
「京都、大阪、東京、富士山…。色々なところに家族で出かけて、さらに日本が好きになりました。イングランド生まれの私にとって、京都はとりわけ心惹かれる場所でした。子供が好きなのは、鹿に会えた奈良です(笑)」
リーグ戦は残り5試合。決勝トーナメントにも可能性を残しており、ローンチブリーの復帰は大きなプラス材料だ。
「イングランドのゲームはスクラム、ラインアウトなどのフィジカルを楽しみます。自分にとってもそこが力のいれどころです」
18日の名古屋は雨予報。グラウンド状態は厳しそうだが、「PERFECT FOR ME! MY FAVORITE」と笑う。雨でぬかるんだピッチはイングランドの日常風景でもある。
チームには南ア代表FLピーターステフ・デュトイ、FBウィリー・ルルーがいる。日本開催の2019W杯決勝で戦った二人と、同じチームで出場することになる。
「ウィリーとはワスプスで3年間一緒にプレーしたので良く知っています。デュトイがトヨタでプレーしていることは、加入前から知っていました。私はもうじき32歳になりますが、彼を見ていると、もっともっとうまくなりたいと思う」
対戦相手のBL東京も、リーグワンではフィジカルなFWで鳴らす存在。18日の瑞穂は、リーグ屈指の激しい肉弾戦が楽しめそうだ。
①12月18日、静岡BRとのミライマッチ(左端)
②公式戦ファーストキャップは、12月24日相模原ダイナボアーズ戦、リザーブでの出場。
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