この春、5人のルーキーを迎えたヴェルブリッツ。いずれもユース世代の代表歴を持ち、関東と関西の大学ラグビーを沸かせた将来性豊かな選手ばかり。その横顔を紹介していこう。
LO 小池隆成[東海大]
〜自主性を出していく〜
通常の新入社員は、4月1日に入社式、その後、研修へと進む。だが現在はラグビーシーズン真っ盛り。ラグビー部の新入社員は、シーズン中はチームのスケジュールに沿って練習、空いた時間でオンライン研修や、ビデオを観て仕事の内容を学ぶ。一般社員より多忙な日々だ。
東海大から入社したLO小池隆成も、連日忙しさに追われている。
「社員としてやること、ラグビー選手としてやることを、毎日コンスタントにこなしていく感じ。めちゃくちゃ忙しいです」
夏~秋の開幕だったトップリーグと違い、リーグワンは1月にスタート、5月末がファイナル。新加入選手は、シーズンがピークの時期にチームに加わることになる。
「練習内の強度やスピード感はもちろん大学とは違う。今はシーズン中ということもあって、そこまで追い込むメニューはないですが、その中で自主性を出していかないといけない」
大学時代は体育学部。講義を受けた「木村先生」がラグビー部の監督でもあった。
練習内容も学生時代は同じメニューを与えられ、仲間でこなすのが普通だった。
「社会人は、“このメニューをやるから、各自準備してきてね”と準備の必要性を感じました。そもそも1年目で差があるのに、与えられたメニューをやるだけだったら、どんどん置いていかれる」
すぐに状況を把握して順応できるのは、各世代の代表を経験してきたから。FWの東海大で屋台骨を支えた小池がトヨタを選んだのは、FWのチームだったから。
「FWの自分が成長できるチームだなと」
加入当初は「トゥイプロトゥやデュトイ、姫野さんとか“テレビで観た人だ”という感覚でした(笑)。僕からは距離を詰められないとわかっていて、気軽に話しかけてきてくれたり、個人練習に誘ってくれたり。今は先輩という感じです」
大学時代はバックファイブ。LOもFLも出来るよう準備してきたが、トヨタでも、両方をこなすつもりだ。
「そのほうが試合に出られるチャンスがある。サインも両方覚えないといけないから、大変です」
東京生まれ。杉並ラグビースクールでラグビーを始め、千歳中―東京高、東海大と進み、生まれて初めて関東を離れた。生活習慣や食べ物の違いが新鮮だ。
「東京の人って、結構歩くんですよ。でもこちらだと、徒歩10分は車で行く感覚。練習を終えて近くの駅まで歩こうとしたら、先輩が“お前、大丈夫か。無理するなよ”って車で送ってくれました(笑)。あと、赤味噌って言うんですか。会社の食堂で味噌汁が出たんですけど、まだ慣れなくて」
練習試合は1試合、後半から数分間の出場だった。
「今だったらルーキーと見られている。その見方を変えるのは練習試合かなと。練習はフレッシュさやがむしゃらさで勢いを与えられたらいいなと思って参加してます。その中でラグビー選手としての良さをアピール出来たら」
あと1か月、来るべきチャンスに備える。
こいけ・りゅうせい/LO/188cm105㎏/1999年11月18日生まれ/杉並少年RS→千歳中→東京高→東海大/U20日本代表、ジュニア・ジャパン
文/森本優子
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