第11節マッチレポート ようやくヴェルブリッツらしさが芽を吹いた。

トヨタヴェルブリッツは3月15日、豊田スタジアムでNTTジャパンラグビー リーグワン第11節で東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)と対戦。最大18点差とされてから追い上げ4点差まで迫ったが、終了直前にトライを許し、22-33で敗れた。通算成績は2勝8敗1分けで11位。

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 今季のリーグワン最多となる観客24165人がスタンドを埋めた一戦。終了1分前にトライを奪われ勝ち点は消えたが、前後半を通じてスタジムのスクリーンには何度も「NICE PLAY」の文字が映し出され、緑に埋まったスタンドを沸かせた。ようやくヴェルブリッツらしさが芽を吹いた。

 開始3分、BL東京はスクラムから仕掛け先制トライ。ヴェルブリッツもSOマット・マッガーンのPGを決めるが、2トライを追加され、開始26分で3-21と先行される。

 これまでの試合では引き離されると、流れを取り戻すことができなかったが、この日は違った。全員が前に出る意志を持ち、攻め続けた。結果、グラウンドの緊張感は80分途切れなかった。

 31分、オーストラリア代表キャップ125を持つ33歳のFLマイケル・フーパーがゴール前ラインアウトの後、僅かな隙をかいくぐりトライ。10-21で折り返す。途中加入で第8節からリーグワンに出場したフーパーだが、チームスタイルにもフィット、ワラビーズ時代のトップフォームを取り戻した。もう一人のFL、22歳の青木恵斗も、フーパー同様に相手ボールを奪うスティールでスタンドを沸かせる。

 後半、BL東京が先にトライを取り、引き離しにかかる。ヴェルブリッツ追撃のトライのきっかけとなったのは、青木と共に帝京大から加入したアーリーエントリーのSO小村真也だった。

 前節の浦安DR戦で初キャップを獲得、この日は後半16分にマット・マッガーンの交代で出場。司令塔の大役を担うと、25分には相手ゴール前で巧みなキックパスを上げ、WTBジョセフ・マヌのトライに繋げた。試合を控えた週、2人で練習を重ねてきたプレーだった。33分にはこの日が50試合出場のCTBシオサイア・フィフィタがトライ。小村のコンバージョンも決まり22-26と4点差に。後半はほぼヴェルブリッツが相手ゴール前に陣取っていたが、終盤にBL東京は一気にエリアを戻してトライをとり、22-33が最終スコアとなった。

 スティーブ・ハンセンHC/D.O.Rは「得たい結果は得られなかったが、エナジーを見せてくれた。トップチームに対して、最後まで競えた」とチームをねぎらった。

 スクラムも安定、後半は相手ゴール前で攻撃を重ねる時間は長かった。HO彦坂圭克ゲームキャプテンも「前半から有利に進められていると感じた」と手応えを語る。

 小村も「勝てた試合。そこを勝ちきれなかったのは途中から10番として入った僕の責任でもある」と、チームを背負ったコメント。

 初先発で80分フル出場した青木も「開始から飛ばし過ぎて、前半は途中でバテました」。それでも後半は「その反省から、ペース配分を考えて戦えた」。修正能力の高さも見せつけた。「ボールキャリーで早めに置きに行ったけど、もっと暴れてもよかった」と反省を見せたが、会見で青木について聞かれたBL東京リーチ マイケル主将も「もっとボールを持って、ヒットしてほしい」と同様のコメント。「やればやるほど強くなる。世界に通用する選手」とエールを贈った。

 青木、小村の22歳コンビが躍動すれば、SHアーロン・スミスも初めて80分フル出場。ピンチを防ぐ働きで世界トップの貫禄を見せた。全員が一体となって戦えた80分だった。

 ハンセン氏も「選手の日頃の姿勢とハードワーク、歯車が噛み合ってきた印象がある」と納得の表情。後はここをスタンダードとして、右肩上がりでいきたい。

 交流戦は残り2試合。これからは、今季新たに採用された「昨季の順位の近いチーム」と再度対戦する。相手は相模原DBと横浜E。次節は3月22日、10位の相模原DBを長良川競技場に迎え撃つ。豊田スタジアムで得た勢いをそのままぶつけたい。  

(森本優子)

SHアーロン・スミスを追うBL東京FLシャノン・フリゼル。オールブラックス時代の同僚対決

豊田スタジアム初登場のFLマイケル・フーパー


落ち着いてチームを引っ張ったSO小村真也

前後半通してスクラムは安定。後半出場した淺岡、川﨑、三浦(左から)

前半の途中から雨脚が激しくなったが、スタンドは24165人の観客が詰めかけた

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