第10節マッチレポート 開始直後に3連続トライ。 待望の2勝目挙げる


 NTTジャパンラグビー リーグワン第10節は3月1日、福島県楢葉町のJヴィレッジスタジアムで開催され、トヨタヴェルブリッツは36-31で浦安D-Rocks(浦安DR)を下し、連敗を5でストップ。第4節以来の2勝目を挙げた。

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 チームもVOLTsも待ちに待った2勝目は、気温15度という春の温かさと共に訪れた。開始12分で3連続トライで21-0とリードしたが、終わってみればスコアは36-31。最後は冷や汗の勝利だった。

 最初のトライは開始1分。ラインアウトを起点に後方から走り込んだWTBジョセフ・マヌが抜けだし、LOジョシュ・ディクソンにパス。トライラインに身を躍らせた。2本目、3本目のトライはいずれもHO彦坂圭克ゲームキャプテン。そのまま前半を大きくリードして折り返す。

後半9分、当初はHO彦坂が抑えたと判定されたトライは、TMOによりペナルティトライに。28-0とリードを広げた。風上に立った後半だったが、その後、ペースをつかんだのは浦安DR。わずか5分の間に3トライを連取して、28-21と7点差に詰められる。28分、WTBヴィリアメ・ツイドラキのトライで引き離すも、すぐにトライを許すシーソーゲームに。最後はホーンが鳴る中、相手の攻撃を止めきって試合終了。

「選手たちの努力が報われた。前半、いい形でトライを奪ったが、後半にスクラムで反則したり、ラインアウトで相手にボールを渡したのは今後の課題」とスティーブ・ハンセンHC/D.O.R。

 終盤の戦いに課題は残ったが、「勝って反省」こそ、理想的な成長のサイクルだ。

「1週間を通して言ったのは、“トヨタのラグビーを体現しよう。誰かじゃなくて、自分たち一人一人が激しさを体現しよう”と」(彦坂圭克ゲームキャプテン)

 前節の神戸S戦は、前半20分で28点を奪われ、チームの司令塔・松田力也までも失った。松田だけでなく、姫野和樹キャプテンら、12人をケガで欠く難しい状況で、連敗が続いていた。

「負けが続くとベクトルが外に向きがちになる。そうでなく、自分たちにベクトルを向けないと、と意識していた」

 先発最年長のSH茂野海人は、勝てなかった期間を振り返った。

「SHはコミュニケーションが大事なので、FWが下を向かないよう鼓舞するのが大事」

 34歳のベテランはこの日も随所に勢いを生み出し、勝利を支えた。さらに「待たずに前に出る姿勢が強く出ていた。速いボールが出ると、相手が守備するのが難しい局面に追い込むことができる」(ハンセン氏)と、今のチームが目指す方向性を見せた試合でもあった。

アーリーエントリーのFL青木恵斗は後半21分、SO/FB小村真也は後半24分に出場し、初キャップを獲得した。入ったのは7点差に迫られた難しい時間帯だったが、ハンセン氏は「2人は若いけれど信頼しており、投入した状況でも心配はなかった。彼らのパフォーマンスは誇りに思う」と称賛。青木も「これまでスタート(先発)の経験しかなかったので、味わったことのない緊張感を感じました」と、初めての後半投入で奮闘。外国人選手に対してもボールキャリーの強さを見せた。

 彦坂圭克ゲームキャプテンは「上手くいかないことが続いていたので本当に嬉しい。これを1回で終わらせず積み重ねていきたい」と、後半の巻き返しを期した。

 対する浦安DR・HO藤村琉士ゲームキャプテンは「最初に3トライを取られたら、どんなチームでも勝てない」。それは前節までもがいていたヴェルブリッツの姿でもある。

チームはバイウィークを挟んで、次節は年に一度の雷神祭。3月15日、豊田スタジアムで昨年度優勝チームの東芝ブレイブルーパス東京を迎え撃つ。

「試合の入りこそ全て」。改めて勝利の鉄則を胸に刻み、バイウイーク明けに備える。    (森本優子)

「自分の仕事をやりきろうと」。FWを自在に操ったSH茂野海人

アーリーエントリーでデビューしたFL青木恵斗

ハットトリックは幻に終わるも、2トライでPOMに選ばれたHO彦坂圭克ゲームキャプテン

これまでのCTBからWTBに入りラインブレイクを見せたジョセフ・マヌ

VERBLITZ BLOG

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