NTTジャパンラグビー リーグワン第9節は2月22日、東大阪市の花園ラグビー場で行われ、トヨタヴェルブリッツはコベルコ神戸スティーラーズ(神戸S)に21-63で敗戦。通算成績を1勝1分け7敗とし、順位を11位と下げた。
●
風下の前半。開始から10分はヴェルブリッツのペースだった。キックを避け、FWで身体を当ててボールを前に運ぶ。だがその接点で神戸Sが優勢だった。12分、ラインアウトモールから先制トライを許す。その後、相手陣に攻め込んだヴェルブリッツだったが、ターンオーバーされ一気に切り返される。15、17分に同様の形でトライを失い、0-21。18分には、SO松田力也が足を痛めて担架で退場、FBマット・マッガーンがSOに回る状況となった。その後も得点を重ねられ、前半で7-42。後半にも3トライを追加され、最終スコアは21-63。2003年度から始まったトップリーグでの対戦を含め、対神戸S戦での最多失点、最大得点差となった。
「スタンダードなボールコントロールが出来ていなかった」とスティーブ・ハンセンDOR/HC。「チームは必死に戦っているが、タフなシーズン」と苦悩を滲ませた。
松田のケガの状況を聞かれ、「我々もまだ状況を把握していない。股関節脱臼の可能性もあり、深刻な状態だと認識している」。しばらくは正司令塔を欠いた布陣となりそうだ。
さらに試合直前のウォームアップで6番で出場予定だったアイザイア・マプスアが負傷。リザーブのNO8フェツアニ ラウタイミが先発にくりあがり、FL小池隆成が急きょメンバーに入った。
小池は後半13分から出場したが、この試合が今季初の公式戦だった。加入3シーズン目、1年目からメンバー入りしていた有望株も、プレシーズンマッチの脳震とうで出遅れていた。
実は小池は、午前中に行われたミライマッチに60分出場し、50-33で勝利。その後、試合前のウォーミングアップの相手を務めている最中にメンバー入りが決まった。
「もちろん出たい気持ちはあったので、選ばれて嬉しかったし、“2勝してやるぞ”という気持ちでいきました。徐々に調子が上がってきていたので、準備しておいてよかった」
この日の出場時間は2試合あわせて90分。「サッカーの試合みたい」(笑)。それでも「自分が出た嬉しさより、こういう負け方をした悔しさの方が大きい」と唇をかんだ。
これまで4試合行われたミライマッチは無敗。選手たちはリーグワン出場を目指して、腕をぶしている。小池も「僕が出ることになって、一緒にミライで頑張ってきた仲間が、背中を押してくれた。すごく嬉しかった」と振り返る。シーズンはちょうど折り返し。これからがミライマッチで実績を積んだ選手たちの力と熱を投入する時だ。
「最も大事なことはチームとしてコネクトすること。逆境と言われる状況だが、そういった中にこそ、本質が垣間見える。チームとして乗り越えられれば、それが強みになる。ハードワークを続ける、信念を持つ」とハンセン氏。
史上最年少のワラビーズキャプテンとして、長年チームを率いたFLマイケル・フーパー。4季ぶりの復帰戦は当初50分の出場予定だったが、ケガ人が出たことでフル出場に。
「フィットネスはまだまだだが、自信はついた」と、想定外の事態にきっちり対処。今の状況で見失ってはいけないことを、こう言った。
「シンプルでいること。こういう時、やりがちなのは、全てを修正しようとすること。そうでなく、単純化して、いま出来ていることを高いレベルで続けていく」
出来ていることを、より高いレベルで続けていく。今こそ、チームとしての一体感が試される。
松田力也の退場後、マッガーンとコンビで試合を動かしたCTBディック・ウィルソン
後半20分からピッチに入ったWTB岡田優輝は、この日が50試合出場
急きょ出場が決まったFL小池隆成。「フィジカル的には全然いけた」
0コメント