第7節マッチレポート
「悪くないと思ってるところに、何かがあるかもしれない」(奥井章仁)
トヨタヴェルブリッツは2月10日、NTTジャパンラグビー リーグワン第7節でギオンスタジアムで三菱重工相模原ダイナボアーズ(相模原DB)と対戦。前半で14-41と大差をつけられる展開となり、後半追い上げたものの、40-44で今季5敗目を喫した。
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開始7分で互いに1トライ。トライ合戦になるかと思われたが、その後は一方的な展開となった。
「ディフェンスで前に出られず受けに回った」(HO彦坂圭克ゲームキャプテン)。激しく前に出る相手の勢いにのまれ、本来のチームディフェンス、タックルが機能しなくなった。続けざまに5トライを献上、7-41と大きくリードを許す。後半に立て直してCTBジョセフ・マヌのノーホイッスルトライなどで追い上げたものの、前半の失点を取り戻すまでにはいかなかった。
「プレッシャーがかかった状態で全員がばらばらになってしまうと、ああいうゲームになる」(SO松田力也)。前半だけでタックルミスは28回。これでは勝てない。
前半は相模原、後半はヴェルブリッツとはっきり色の分かれた80分を、相模原DBのグレン・ディレーニーHCは「2試合見ているようだった」と総括。22年度からチームを率いているが、「今日は私がチームに携わって以来、最高の試合だ」と相好を崩した。
一方、ヴェルブリッツのスティーブ・ハンセンHC/DORは「後半が我々の本来の姿。だが超えるべきハードルが高すぎた」
後半は本来の試合運びができた。終盤、相手の42フェイズに及ぶアタックも反則せず止めきった。しかし、そのパフォーマンスを開始から一貫性を持って続けられないのが今の課題でもある。
「これまで過去にあまり成功を収めていないので、試合中にメンタルのスイッチが切れる。それは過去の反映でもある」とハンセン氏。
そして「選手の努力には尊敬を惜しまないが、今日はチームに関わる全員が辛い思いをしている」と胸の内を明かした。
プレーヤー・オブ・ザ・マッチは相模原DBのFL吉田杏。2シーズン前までヴェルブリッツに所属していた背番号7はこの日、アタックにディフェンスに縦横無尽の活躍だった。
同じくヴェルブリッツから21年に移籍したSH岩村昂太キャプテンは試合前、仲間にこう声をかけた。
「トヨタはカッコいいプレーや技を使って攻撃してくるエリート軍団。我々はひたむきにハードワークするのがDNA。それを80分間やり続けようと」
百㌫ではなく、120㌫で挑んでくる相手と対峙し、それ以上の力で跳ね返すことが、ヴェルブリッツに課せられたミッション。元チームメートの言葉は、チーム再生への檄として刻んでおきたい。
ハンセン氏は「これが現実。80分間プロセスにこだわって出し切ることに関しては、指を鳴らすように簡単には変わらない。学びが必要で、時には痛みを伴う。勝っても負けても引き分けでも、我々が週明けからやることは変わらない」
指揮官は先頭に立ち、厳しい風を受け止める。
試合ごとにパフォーマンスを上げているルーキーFL奥井章仁はこう振り返った。
「毎回言うんですけど、この結果を受け止めて進むしかない。悪くないとは思うんですけど、そう思ってしまってるところに、何かがあるかもしれない。チームとして何かが足りていない」
選手それぞれが、その“何か”を探す日々は続く。次節はショートウイークで静岡ブルーレヴズと対戦する。身体をいたわりつつ、頭とハートは120㌫でフル稼働させたい。
(森本優子)
WTBシオサイア・フィフィタは後半24分にトライ
チーム最初のトライを挙げたLO秋山大地
後半、連続トライを奪ったCTBジョセフ・マヌ
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