第6節マッチレポート
「ひとつ噛みあいだせば、いける。落ちることなくやり続ける」(松田)
1週間の休みを挟んで再開されたNTTジャパンラグビー リーグワン第6節。今節からカンファレンスAとの交流戦が始まった。トヨタヴェルブリッツは2月1日、豊田スタジアムで横浜キヤノンイーグルス(横浜E)と対戦。試合終了間際に猛攻を見せたが、20-24で敗れた。通算成績は1勝1分4敗の8位。
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ラストシーンは昨季の第15節(2024年4月27日)の対戦のデジャヴだった。後半38分、4点差を追うヴェルブリッツが渾身のアタックを仕掛けた。試合終了のホーンが鳴ってもプレーは止まらない。前回は30フェイズ攻め切って、FB髙橋汰地の逆転トライが生まれたが、今回は23フェイズを重ねたところで相手に絡まれ、勝機は潰えた。
「スコアボードを見ずに試合だけ振り返れば、両チームとも素晴らしい内容だった」
スティーブ・ハンセンHCが会見で総括した通り、勝利の天秤は終始、双方を行き来し、フルタイムの時点で相手に傾いていた。横浜E・沢木敬介監督の「今日の収穫は勝ったことだけ」というコメントも、その内容を裏付ける。
ヴェルブリッツは第4節で負傷したNO8姫野和樹キャプテンに次いで、SHアーロン・スミスも欠場。SH茂野海人が今季初先発で、SO松田力也とHB団を組んだ。この日、生まれた2トライはいずれもこの元日本代表コンビが起点となった。
前半19分、松田が相手裏に上げたキックから繋ぎ、相手ゴール前へ。フォローしていた茂野がゴール前に持ち込みしっかりキープ。CTBニコラス・マクカランが繋いで、PR三浦昌悟が左中間トライラインに飛び込んだ。後半13分に奪ったWTB髙橋汰地の今季6個目のトライも、松田のキックが起点。茂野がキックすると見せかけ、走り込んできた髙橋に繋いだ。今季初めて背負った「9」が持ち前の能力をより輝かせた。
試合は敗れたが、随所に前節からの進歩は見てとれた。
第5節からキックの調子を崩していた松田。1本目のPGは外したが、その後は2G2PGを連続して成功させた。バイウイークに原因を探った。
「前に前に、という気持ちがあって蹴り急いでいた。1本目を外したときは、後ろに引ききれなかった」
キックが復調し、すべての得点に絡んだが、結果には首を振る。
「いい試合だったけど、負けてる試合にいい試合はない。悔しさがすごく溜まってる状態」
前節に続いて8番を背負った奥井章仁は前半終了間際、自陣トライライン前での絶体絶命のピンチでスティールを成功させた。
「何が何でも止めたくて。味方がいいタックルをしてくれたので、僕がスティールできた。あれはチームでのプレー」
一つステップを上がると、また新しいハードルが待っていた。
「8番はこれまでヒメさん(姫野)がアタックで存在を出していた。僕はいまアタックで存在を出せてない。もっと自分からモメンタムを作りださないと」
埼玉WKと帝京大。常勝チームのセオリーを肌で知る2人が、新たな壁を超える挑戦を続けている。
ハンセンHCは「デュトイ、姫野、アーロンがいないことを言い訳にしたくない。選手たちはよくやってくれた。これ以上は求められない」と選手をリスペクト。
「フラストレーショが溜まる試合」としながらも「選手の努力にフラストレーションを抱えているのではなく、単に勝利できなかったことに対して。選手たちは勝利に値するプレーをした」と称えた。
「また月曜から、改善あるのみ」
HO彦坂圭克ゲームキャプテンも「結果はついてこなかったけど、いいラグビーは出来ている。これを続ければ、いつかは結果がついてくる。自分たちを信じて一丸となってやっていく」
チームとして揺らぎはない。
The night is long that never finds the day.
夜明け前が一番暗い。「マクベス」の一節だ。今は暗闇の中でも、待っているのは明け方だ。
「ひとつ噛みあい出せば、いける。負けている中でも勝ち点をとれているのは、今後絶対に大事になってくる。しっかり落ちることなくやり続けたい」(松田)
今節からはアーリーエントリーの選手も合流する。新たな仲間を得て、
さらに前進するのみだ。
「バイウイークでいい時間を過ごせた」。キック復調のSO松田力也
今季初先発、チームを熟知するところを見せたSH茂野海人
「とにかく勝ちたい」。試合後、悔しさをかみ殺したNO8奥井章仁
前半19分、トライを挙げたPR三浦昌悟
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