第5節マッチレポート
渾身の挑戦も、牙城崩せず。
NTTジャパンラグビー リーグワン第5節は1月19日、北九州市・ミクスタで開催され、トヨタヴェルブリッツは全勝の埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉WK)と対戦、22-38で敗れた。
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バイウイーク前、十分な準備を重ねて臨んだ首位との一戦。序盤の失点が最後まで響いた。
開始3分、相手陣10㍍付近のスクラムからSHアーロン・スミスが抜けて繋いだが、トライラインで相手が先に抑え先制ならず。逆に7分、自陣ゴール前でマイボールラインアウトをスチールされ、先制トライを許す。12分にもヴェルブリッツがアタックしていた状況で相手に絡まれ、反則に。再び自陣ゴール前まで攻め込まれると、ラインアウトから2個目のトライを喫した。これで0-14。
「トップチームと対戦する上で、序盤に失点しては勝つのは難しい」(スティーブ・ハンセンHC)
追う立場となったヴェルブリッツだが、攻める姿勢は揺るがなかった。36分には相手ゴール前でフェイズを重ねる。LOリッチー・グレイがトライライン手前に持ち込んだボールを、相手防御が整う前にFLアイザイア・マプスアが抑えた。速さと力が融合、チーム一体となったトライだった。
後半もWTB髙橋汰地の今季5個目のトライで追いすがるものの、相手に効率よく得点を重ねられ28点差まで開かれた。だが終盤、SH茂野海人、SOマット・マッガーン、CTBジョセフ・マヌらフィニッシャーが高いアタック能力を見せ、2トライを追加。22-38が最終スコアとなった。
「最初の20分、相手のペースでポンポンととられた。あれがいけなかった」(HO彦坂圭克ゲームキャプテン)
チャンスは双方にあった。だが勝負所の集中力、ミスが起きた時の反応など、細かな違いが勝敗を分けた。
前節のBR東京戦で終盤に退場したNO8姫野和樹キャプテンは、「ふくらはぎを痛め、復帰まで2か月」とハンセンHC。その穴を埋める活躍を見せたのはルーキー奥井章仁。ヴェルブリッツFWの看板である8番を背負い、何度もタックルとスチールを見せた。ハンセンHCも「彼は賢く献身的な選手でリーダーの一人。今日の出来は嬉しく思っている」と高評価。
「開幕に出られなくて悔しい思いをしたけど、いつチャンスが来てもいいように準備していた」と奥井。
「自分のやりたいことは出来たけど、負けているので。もっと成長したいと思える試合だった」と、今後への糧とした。
古巣と対戦したSO松田力也は「やりづらかった。強いチーム」と元の仲間を称えた。プレースキックが本調子ではないが、「(原因は)身体のフィーリングの違いとメンタル。自分にしか直せない。自分自身に矢印を向けていく」と再開後を見据えた。
北九州で初開催となったディビジョン1。小倉駅周辺には試合を告知するバナーがあちこちに飾られ、スタンドはぎっしり埋まった。これまでミクスタでのラグビーでの最高観客数は2022年6月25日に開催された日本代表対ウルグアイ代表の11,664人。この日はそれを更新する13,251人の観客が詰めかけた。
ラグビーどころで知られる福岡。満員の観客は、試合終了まで席を立たず試合を見守った。ヴェルブリッツのアタックし続ける姿勢は、勝敗を超えて観客に伝わった。
「本当に美しいスタジアム。フィールドもよく、歓声も身近に聞こえた。来年また戻ってきたい」とハンセンHC。彦坂GCも「すごく芝がよくてスクラムが組みやすい」と実際にプレーした選手からも好評。これから福岡にもVOLTsが増えそうだ。
5週続いたリーグワンは、今週はバイウイーク。チームは小休止して、次の5連戦への準備に入る。
「最初の20分を除けばいい試合だった。帰ってまた改善を続ける」とハンセンHC。
第5節を終えて1勝1分け3敗。望んでいた結果ではないが、首位を走る相手に渾身のチャレンジをしたからこそ、足りないものもはっきり見えた。
「我慢と横のつながり」(松田)
「自分たちには自分たちのスタイルがある。後は80分、どう一貫性を出せるか」と奥井。
チームは変わりつつある。まだまだ試練はあるが、それを乗り越えれば、これまでにないチームになるという確信は誰の胸にもある。
「いつかトヨタの番がくる」
ハンセンHCの言葉を心に刻み、しばしリフレッシュ。2月1日、再開初戦の相手は横浜キヤノンイーグルス。今季初の豊スタ開催のゲームとなる。たくさんのVOLTsの声援を背に、上昇気流に乗りたい。
後半投入のSOマット・マッガーン。欠かせないフィニッシャーに
北九州の観客からも選手に熱い声援が送られた
ヴェルブリッツデビューを飾ったNO8奥井章仁
好調のWTB髙橋汰地は今季5個目のトライ
海が間近のミクスタ。小倉駅から徒歩で行けてアクセスも良い
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