第14節埼玉WK戦マッチレポート
青い壁、崩せず。
トヨタヴェルブリッツは4月20日、パロマ瑞穂ラグビー場で埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉WK)と対戦。7-40で敗れ、通算成績は再び7勝7敗のタイに。順位は6位となり、トップ4入りの可能性がなくなった。
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前売り券は完売、初夏を思わせる日差しの下、パロマ瑞穂ラグビー場史上最高の9129人の観客を記録した一戦。トヨタも懸命に攻めたが、青い壁は揺るがなかった。
前回(第4節)の対戦は27-43で敗れたものの、序盤にトヨタが27-5とリードする場面もあった。再戦にあたり、相手の対策ははっきりしていた。
「相手に勢いを与えずにプレッシャーをかける」(埼玉WKロビー・ディーンズHC)
青いジャージーはキックオフから集中力高く攻めてきた。4分にHL付近のスクラムからLOルード・デヤハーがトライ。続く8分にもラインアウトから再びLOデヤハーがトライ。理詰めの連続攻撃で一気に取り切り、14-0とリードした。
「トヨタが必死に来るのは分かっていたので具体的に準備した」とディーンズHC。
トヨタ側がラックに人数をかけないところ、防御がやや薄くなる状況を着実に突かれた。15分にもトライを追加され、21点差に。差を広げた後は防御に注力し、相手がアタックでミスしたボールを切り返して得点を重ねるのが埼玉WKの戦い方。
トヨタも懸命に攻めた。だがどれだけフェイズを重ねても、相手防御は綻びを見せなかった。
「穴を見つけようにも、両サイドにもディフェンスがしっかり立っていて難しかった。他のチームと比べると(試合中に)迷う時間が長い」とFB髙橋汰地。
攻めてもミスでボールを手放すか、相手にターンオーバーされるか。手詰まりの時間が続いた。
「もともとリーグの中では(相手は)ディフェンスのチーム。中盤で攻めすぎてしまうとリスキー。壁を打ち破れない」(FL姫野和樹キャプテン)。
後半にも2トライを追加され、7-40となったが、最後までトヨタも粘った。試合終了のホーンが鳴った後、相手陣ゴール前でラインアウト。大観衆の応援を背にトライを狙ったが、ボールは手から弾け、追加点はならず。残り2試合で連勝しても4位の横浜Eの勝ち点を上回れないため、トップ4への可能性は潰えた。
トヨタはスクラムで安定、ラインアウトもキャッチングで冴えを見せた。前半31分に奪ったトライはラインアウトモールを押し込んでFLウィリアム・トゥポウが奪ったものだ。課題だったペナルティも相手より少なかった。最終的なポゼッションは64%。相手を上回る数字を残したものの、ゴールラインは遠かった。サポートの速さ、プレー選択の確かさ、スキルの正確性…。相手は同じ絵を見て動いていた。
「トヨタにはいいジャッカルプレーヤーがいる。ディフェンスで前に出てくることも分かっていた。効果的にエリアに近い部分をアタックをしたり、うまくオフロードを使うことを今週ずっとやってきた」とHO坂手淳史キャプテン。
姫野キャプテンは「これが今の自分たちの力」と認めた。
「相手はキック合戦が上手い。そういうチームとどう戦っていくか。カウンターに行くタイミング、どんな種類のキックを蹴るのか…。自分自身、もっとラグビーの理解度を深めないと」(髙橋)。
埼玉WKの勝ち点は14試合で66。首位を独走するチームに渾身のチャレンジをしたことで、来季にやるべきことが浮き彫りになった。
ベン・へリングHCは残り2試合を「来季につなげる2試合にする」。次への備えはもちろん、今シーズンもまだ目指すものがある。髙橋汰地のトライ王だ。第14節終了時点で11トライの5位。1位のマロ・ツイタマ(静岡BR)が15トライ、2位は12トライで3人。
「個人的にはギリギリ狙える。ハットトリック2試合連続決めて(笑)、狙っていきたい」と髙橋。
チームが納得いく試合が出来れば自ずトライゲッターにチャンスは生まれる。
次節はパロマ瑞穂ラグビー場で横浜Eと戦する。SOボーデン・バレットの地元でのラストゲームでもある。残り2試合を白星で終え、髙橋の夢を後押ししたい。
「もう少し、いいプレー選択が出来たかも」とFL姫野和樹キャプテン
CTBシオサイア・フィフィタをWTB長田智希が止める。横はHO堀江翔太。昨秋のW杯代表は23人中トヨタが5人、埼玉WKは13人
たびたびゲインを見せたWTB山口修平
スタンドをぎっしり埋めた観衆は史上最多の9129人
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