【コラム】第12節 花園L戦 マッチレポート

第12節 マッチレポート
 
「勝って反省」の流れを。
 
 トヨタヴェルブリッツは4月6日、リーグワン第12節で花園近鉄ライナーズ(花園L)と対戦。開始早々に2トライを奪われたが47-30で逆転勝ち。通算成績を6勝6敗の五分に戻し、順位を7位とした。
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年1回の開催となる岐阜メモリアルセンター長良川競技場でのホストゲームは、過去最多となる7390人の観客が集まった。スタジアムを満開の桜が取り囲む中、チームは3月9日のS東京ベイ戦以来の白星を挙げた。
 東京SG、静岡BRに連敗して迎えた一戦。キックオフ早々、緑のジャージーは動きが硬く、相手NO8セル・ホゼが繰り出すオフロードパスから2トライを献上。前半13分で0-12のビハインドに。前の試合の負けを引きずるような重い立ち上がりだった。
 そこで組んだ円陣で、NO8姫野和樹キャプテンが檄を飛ばした。
「厳しい言葉を言いました。相手も素晴らしかったけれど(立ち上がりは)自分たちの責任。まずはマインドセットが大事と」
 言葉はすぐに仲間の心に沁み込んだ。15分、相手陣ラインアウトからフェイズを重ね、SOティアーン・ファルコンが左端にいたWTBヴィリアメ・ツイドラキに飛ばしパス。インゴールを陥れた。
「相手のディフェンスが寄っていて、
こちらのFWも動いてくれていたので」(ファルコン)
 ファルコンの先発は第7節の三重H戦以来。当初はボーデン・バレットの出場が予定されていたが、コンディション不良でチャンスが巡ってきた。
 ツイドラキのトライで、チームは通常運転モードに。21分にはゴール前ラインアウトモールからHO彦坂圭克が「十八番」のトライ、25分にはFB髙橋汰地がゴール前にキック。ツイドラキが身体を張って確保したボールをSHアーロン・スミスが繋いでトライ。ファルコンが3連続コンバージョンを決めて、21-12と差を広げた。
 花園LのFL野中翔平キャプテンは、2トライ取った後が分かれ目だったと振り返った。
「(トライ数が)2本対0本。次がどうなるかで、精神的に優位に立てるかイーブンになるかの分かれ目。僕たちは2トライとった後、(PGで)3点を重ねればよかったのに、焦って自陣の時間帯が長くなった」
 続けて失点していたら、さらに傷口は広がっていた。12点ビハインドから流れを戻せたことが、この試合の収穫だった。
前半を28-22で折り返し。後半も3トライを挙げ、47-30で勝ち点5を獲得して勝利を挙げた。
後半25分には加入2年目を迎えたLO山川一瑳が交代出場。リーグワンデビューを飾った。
「自分の役割を意識して試合に臨みました。それは果たせたので、ファーストキャップはいいものになった。
緊張しましたが、そのほうが自分のパフォーマンスを出せるので良かった」
 山川は第3節の相模原DB戦にメンバー入りするも、出場機会はなし。その後、ミライマッチでボールキャリーの強さをアピール。メンバー入りを勝ち取った。
 この日、気を吐いたのは、ゲームタイムを欲していたメンバーだった。ファルコンは6本中5本のコンバージョンを決め、試合を締めた。後半7分から出場したPR淺岡俊亮は後半17分、ジャッカルでピンチを救った。16分からピッチに登場したSH茂野海人も強気のリードでチームに推進力をもたらした。これからの連戦に向け、こちらも明るい材料だ。
後半に2トライをスコアしたCTBチャーリー・ローレンスは言う。
「これまでの試合は入りがよくて相手に盛り返されたけれど、今日はその逆。良くない出だしで、強い終わり方ができた。2つを合わせれば、もっとよくなって、私も3トライ目がとれます(笑)」
 課題もある。前半、スクラムでレフリーとのコミュニケーションが滑らかでなく、反則をとられた。終了間際、47-25と差を開いた直後に、相手にあっさりトライを奪われた。今後、タイトな勝負をものにするために修正は急務だが、「勝って反省」の流れは続けたい。
 次節は、リーグワン初開催の長崎で相模原DBと対戦する。現在5勝7敗の9位だが、チームとして戦うことにかけては、定評がある。トヨタにとっても一体感を試される試合となる。

 

キックマネジメントも好調だったSOティアーン・ファルコン

プレーヤー・オブ・ザ・マッチはWTBツイドラキ。

円熟味を深めるSH茂野海人

SOクウェイド・クーパーにタックルする、LO山川一瑳。「(相手がクーパーとは)緊張して覚えてなくて…」

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