【マッチレポート】第10節東京SG戦

第10節東京SG戦マッチレポート
悔しさを忘れず、成長を止めず。



 3月17日、トヨタヴェルブリッツはリーグワン第10節で東京サントリーサンゴリアス(東京SG)と豊田スタジアムで対戦。34568人のリーグワン最多観客数を集めた試合は、リードが二転三転、最終的に38-39で敗れた。
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 スコアボードが目まぐるしく変わる80分。東京SG田中澄憲監督は「ゲームが終わった後、僕自身、足が攣るくらいタフなゲームでした」と振り返った。スタンド最上段まで埋まった観客も、最後まで目を離せないスリリングな展開だった。
 トヨタが東京SGに対して武器としたのは速いパス。序盤から速いパスを多用、相手防御を切り裂いた。
 5分、先発2試合目のWTB和田悠一郎が相手キックをチャージ。素早く繋ぐと和田がライン際を快走し、フォローのFLアイザイア・マプスアにパス。最初のトライを決める。16分にはSHアーロン・スミスからパスをもらったFB髙橋汰地がスルスルと相手の間隙をつき、トライランキング2位につける10トライ目をあげた。
 後半6分には、再び髙橋が抜け、SHアーロン・スミスに繋ぎトライ。SOボーデン・バレットのコンバージョンも決まり31-10。リードを21点とした。半面、運動量の多さに体力を削られていたかもしれない。
「後半10分過ぎから相手の足が止まり出したと感じた」(東京SG堀越康介キャプテン)。
 次第にトヨタに反則が増え始める。コンタクト局面で劣勢になり、自立することが難しい状況に追い込まれた。
キックオフで相手陣に蹴り込んでも、密集周辺で反則をとられ、相手のキックで自陣に戻される悪循環。11分、16分、22分と3連続トライを許し31-29。28分にはSO高本幹也のPGで31-32と逆転を許した。
 だがトヨタも粘った。交代選手を次々と投入。30分過ぎから相手陣で激しい攻防が続いた。39分、ボーデン・バレットが難しい位置からPGを狙う。ポストに当たって跳ね返ったボールを、交代で入ったCTB山口修平がキャッチし、インゴールに身体を沈めた。
「無駄走りになるけど、後半出場だから“僕がやらなきゃ”と走ってたら、本当にボールが転がってきた」(山口)。バレットのコンバージョンも決まり38-32と再逆転に成功する。
 残りワンプレーをしのげば終了。だがそのキックオフをキャッチできず、ディフェンスに回る。相手の攻撃を止める際、PR清水岳のタックルが危険なプレーとなり、イエローカード(のちにレッドカードに変更)に。一人少ない状況でペナルティを得た相手が選択したのはゴール前スクラム。そこからSH齊藤直人に中央トライを許した。高本のコンバージョンも決まり、38-39と再度ひっくり返された。
 敗因は後半の反則数。トヨタの11に対し、東京SGは4。NO8姫野和樹キャプテンは言う。
「規律の厳しさが、まだうちにはない。練習の中でもオフサイド、ロールアウェー…許されているところがある。そういったところは選手自身が許さない環境を作っていかないと」 
 ディシプリンはトヨタ長年の課題でもある。
「ペナルティへの意識を高めるのは次の試合にすべきこと。でも文化を作るのは自分たちの行動。時間はかかる」(姫野キャプテン)
姫野キャプテンは試合後、真っ先にピッチの外にいた清水に駆け寄った。
「気持ちは痛いほどわかる。これから自分をどう成長させるか。“前を向け”と伝えました」
自身、キャプテン2年目の2018年度、トップリーグ開幕戦で後半44分にシンビンに。49分にペナルティトライを奪われ、25―27で逆転負けした。場所は豊田スタジアム。奇しくも相手はサントリーサンゴリアス(当時)だった。
 6年前、涙にくれた若者は、その後、日本を代表する選手となった。
悔しさを忘れず、成長を止めず。チーム全員が足りなかったものから目を逸らさず、前を向く。




(写真説明)
① 大舞台に強い。SHアーロン・スミスは2トライ

② 東京SG NO8シオネ・ラべマイを止めるFLアイザイア・マプスアとLO秋山大地

③ 後半39分、CTB山口修平がトライ


④ PR清水岳をいたわるNO8姫野和樹キャプテン

⑤ 最上段まで観客が入った豊田スタジアム



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