第2節 マッチレポート
終盤の猛攻、僅かに届かず。
チームの結束は実感
アーロン・スミスとファフ・デクラーク。世界屈指のSHが先発した第2節の横浜キヤノンイーグルス(横浜E)戦。会場となった横浜・日産スタジアムは、リーグ戦史上最多31,312人の観客で埋まった。横浜市による招待券6千枚は告知後、ほどなく配布終了。開始前から期待の高まっていた一戦だった。
キックオフから横浜Eはキックを使わず、クイックタップでプレーを継続させる。パスを繋ぎながらのスピードあるアタックに、トヨタは防御に追われた。横浜Eの戦い方は前節、埼玉WKとの開幕戦が伏線だった。試合は12-53とチームとしてリーグワン最多失点を喫していた。
「あれだけボコボコにされて、(トヨタ戦は)クラブとしての振る舞いを見せないといけない試合。前半20分の戦い方はリーダー陣で決めた」と横浜E・沢木敬介監督。
プライドを賭けた相手がトヨタだった。ファンが待ちわびた9番の両雄対決も、すぐに実現した。2分、タッチライン際でボールを持ったデクラークをスミスがすかさずタッチに押し出すと、スタンドは湧いた。
ディフェンスからのスタートだったトヨタだが、網を切らさず止め続けるうちに、チームに血肉が通い始める。
「受けずに前で止められたことで、それがアタックに繋がっていった」とWTB岡田優輝。
最初の得点はトヨタ。13分、SOボーデン・バレットがPGで先制する。だが、横浜Eに続けてトライを奪われ3-14と追う立場に。
嫌な流れを接戦に持ち込んだのは、32分にCTBシオサイア・フィフィタが奪ったトライだ。体勢を崩しながらもボーデンからのパスを受けとると、止めに来た相手を背負ったままインゴールへ。起点はバレットが裏に蹴ったキックを相手が拾った瞬間、WTB岡田がタッチに押しだしたラインアウト。
「ああいうプレーを疎かにしてはいけない。積み重ねることがトライに繋がる」。岡田の真骨頂のプレーだった。
10-17でハーフタイム。後半開始直後にもトライを許し、10-24とリードを広げられる。だがその後、前に出る勢いを増したのは緑のジャージーだった。次第に足の鈍る相手に対し、テリトリーで優位に立ち、相手ゴール前へ。6分にはスクラムから、CTBフィフィタが縦をついてポイントを作り、岡田がトライ(コンバージョン失敗)、15-24と差を詰める。26分、交代出場したばかりのWTB山口修平が自陣から大きなストライドでゲインを見せるも、フィニッシュに届かず。攻守が瞬時に入れ替わる緊迫した時間が続く。
31分、相手FWが危険なプレーでシンビンに。33分には相手ゴール前でペナルティから攻撃を重ね、SHアーロン・スミスがトライ。ゴール前でボールを持つと、視線を流して味方にパスすると見せかけ、自ら目の前の空いたスペースへ。円熟のプレーだった。
バレットのコンバージョンも決まり、22-24と2点差に。その後も渾身のアタックを続けたトヨタだったが、僅かに届かず。横浜Eは何人も足が攣る選手を出しながら、執念で守り切った。
「今日はシステム云々じゃない。ファンは、埼玉戦になかったものを感じてもらえたと思う」と敵将・沢木監督。
トヨタのベン・へリングHCは「トライを取り切れなかったのは大きな修正点」としつつも、「いい未来が待っていると思う」と前向きだった。
「試合は勝ちきれなかったけど、誰も下を向いていない」とWTB山口も言う。
姫野和樹キャプテンは「結果は残念だけど、最後までプレッシャーをかけ続けたエフォートは素晴らしい。このマインドセットを見られたことはキャプテンとして嬉しく思う」
細部の修正は急務も、皆がポジティブに捉えられるのは、時間の経過とともに、結束が増していったから。
敗戦をいかに糧にするか、相手が示した80分。今度はトヨタが形にする番だ。
(写真説明)
① 開幕から2試合連続トライを決めたWTB岡田優輝
② 攻撃の起点でも、フィニッシャーでも存在感を発揮したCTBシオサイア・フィフィタ
③ 加入2年目、8番で初先発のアイザイア・マプスア
④ PR三浦昌悟、FL姫野和樹キャプテンは、50試合出場達成
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