福田健太[SH]
「大事なのはシーズン中でも成長し続けること」
加入4年目、着実にチームの中で存在感を濃くしているのが、SH福田健太だ。
昨季は7勝のうち、2試合でプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた。いずれも拮抗した時間帯にトライを奪い、試合の流れを引き寄せた。SHとしてのスキルに加え、スピード、トライをとる嗅覚でチームに貢献したが、並行してリーダーとしても頭角を現してきた。
昨季から、キャプテン不在時にはリーダーを務めるように。今年も同様で姫野和樹、古川聖人の両共同キャプテンが、日本代表で多忙なこともあり、より公式の場に出る機会も増えた。12月6日にトヨタSCで開かれた開幕直前記者会見も、古川共同キャプテンと出席した。
「日本代表が大勢いる中、チームのスタンダードを下げないように励んできた。残った選手がいい土台を作り上げて、そこに彼らがいいエッセンスを加えてくれる」
春から努力を積み重ねてきた仲間の気持ちを代弁した。
茗溪学園から明大に入学。4年時には主将を務め、23季ぶり大学選手権優勝に導いた。順風満帆だったが、トヨタでは2シーズン、ほぼ試合出場機会はなかった。
「大学である程度、自信がある状態でトヨタに入ったんですが、そんなに甘くなかった。レベルの違いを痛感しました」
トップリーグ(当時)は、海外の名だたる選手がプレーするリーグ。まず、コンタクトレベルを引き上げるのが先決だった。SHとして揺るがぬ存在もいた。滑川剛人氏(現レフリー)、日本代表の茂野海人。厚い壁だった。
「同期や明治の後輩が試合に出始めて、焦りがないことはなかった。スタンドで見ているふがいなさも感じましたけど、ずっと“やり続けていたら、いいことがある”と言い続けてきました。ネガティブになる時もあるけど、自分の中でかみ砕いてやれる。それが長所かなと」
2年間の努力が花開いたのが昨シーズン。全12試合で先発5試合、リザーブ7試合。プレータイムは498分。茂野(462分)を上回った。チャンスをつかんだから、コロナウイルス感染には人一倍、気を配った。
「ほぼ家とグラウンドの往復でした。外食したい時もあったけど、“今じゃないだろ”と。流れにのってきたら、つかみきらなきゃいけない。プレーする前に、その土俵に上がれないのが嫌だった」
最終的に4試合がコロナウイルスで中止になったが、そこから新たな教訓も得た。
「自分がコントロールできることに目を向けることを、去年のシーズンから学びました。それはラグビーにも生かせる」
今シーズン、ベン・へリング氏がHCに就任したことで、日々の練習の集中度が上がったと感じる。
「ベンは1回1回の練習、ワンセッションを無駄にしない。僕自身、もともと大切にしていましたが、さらにいい準備をして、自分のものにする。そこは足りてなかった。皆も同様だと思う」
チームの同期はPR淺岡俊亮、LO秋山大地、古川、WTB髙橋汰地ら。すでに日本代表キャップを獲得している。
「同期から代表に選ばれたことに対しては率直にうれしいし、一ファンとしてもすごいと思う。聖人(古川)も、でかくはないけれど、フーパーと練習してるところを見てきた。尊敬できます」
これから始まるシーズンで、仲間に追いつきたい。
「大事なのはシーズン中でも成長し続けること。ジャパンの選手が戻ってきて、すぐスタメンに入れのではなくて、今の選手が土台を作らないと。僕も海人さんに9番のジャージーは渡さない」
いよいよ幕を開ける2年目のリーグワン。9番争いからも目が離せない。
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