この春、5人のルーキーを迎えたヴェルブリッツ。いずれもユース世代の代表歴を持ち、関東と関西の大学ラグビーを沸かせた将来性豊かな選手ばかり。その横顔を紹介していこう。
●
SO丸山凜太朗［東海大］
〜目指すは替えのきかない10番〜
この世代の有望な司令塔がヴェルブリッツに加わった。丸山凜太朗。東福岡高時代から冷静沈着な司令塔として名を馳せ、東海大でも１年からレギュラーで大学シーンを引っ張ってきた。その司令塔がトヨタを選んだのは、意外な理由があった。
「チームが温かいこともありましたし、若いチーム。あと、個人的に都会が苦手で」
大学時代は神奈川県秦野市の合宿所住まい。周りは自然たっぷりだった。たまに東京に出ると、「気が滅入りました。どこに行くにも人が多い。で、こっち（豊田市）に見学に来たら、ほどよく田舎だった。人もそんなにいない。僕の中ではそこは大きかった」
現在は「快適。何のストレスもない」と新しい街での暮らしを満喫している。
昨季の東海大では武藤ゆらぎとのコンビで12番をつけることもあったが、司令塔へのこだわりは強い。サイモン・クロンHCも、練習合流すぐ丸山の才能を高く評価している。
「僕の出来次第で勝敗が分かれる。特にSOはアタックをオーガナイズすると思うんですけど、チーム全体のアタックの完成度が変わってくる」
その奥深さに惹かれる。小２で福岡の名門・草ヶ江ヤングラガーズでラグビーを始めた。本格的に10番をプレーしたのは高1から。そのときは、まだ「一番楽しかったから」。成長するうち、ゲームを作る面白さを知っていった。
自分の強みは状況判断という。
「これといって得意なプレーは僕の中にはない。空いてるスぺースを見る力はあるんじゃないかな」
プレッシャーは感じない。緊張も「最近、したことがない」。動じない性格が瞬時の状況判断を生み出す源かもしれない。
現在、リーグワンは多くのチームで世界のビッグネームが司令塔をまかされている。
「日本の10番が試合に出ているチームは、統率がとれている。僕も外国人のSOを呼ばないでいいくらいのプレーヤーになりたい。“SOは僕がいるから、外国人をとらなくてもいい”と上の方々に思ってもらえるくらいの存在に」
言葉は短く明確、意思の強さが伝わる。実現するために、やらなくてはならないことは承知している。
「もっとチームにコミットして、戦術を誰よりも理解して、監督やコーチと話して、意思疎通ができるようになっていく」
練習試合には２試合途中出場した。
「まあまあ。よくも悪くもなかった。
評価するのは首脳陣なので」
自らを客観的に分析する。
「焦りは全くないです。今シーズン出られる機会があれば、いいパフォーマンスできるように準備するだけ。チャンスがなければ来シーズン以降、また準備をするだけ」
精神的に波がないのは、まさに10番向き。見学で豊田に来たとき心地よさを感じたのは、司令塔の直感だったかもしれない。
まるやま・りんたろう／SO／173cm83kg／1999年12月17日生まれ／草ヶ江YR（小中）→東福岡高→東海大／高校日本代表、U20日本代表、ジュニア・ジャパン
文/ 森本優子
0コメント